メルマガ:タンポポ塾の家造り雑学的総合大学
タイトル:タンポポ塾の家造り雑学的総合大学  2003/01/10


     今週のメルマガ   第18号 平成15年1月10日 発 行

            タンポポ塾の家造り雑学的総合大学


    建築おたすけ人 ダイヤ設計発行の建築関係の訴訟・マンション監理
    ・登記実務・家族間の法律等の実務事例集と判例解釈のゴチャマガジン。
    全部読んだら、あなたも不動産実務大学の卒業生になれるかも?

               発行人  建築・行政・法務の総合事務所
                       建築おたすけ人 ダイヤ設計  
                   メール:  kdaiya@f7.dion.ne.jp
                           URL:  http://www.h3.dion.ne.jp/~daiya  

     発行人ごあいさつ

    明けましておめでとうございます。
    本年も読者の皆様に面白く読んでいただけるようがんばります。
    よろしくお願い申し上げます。

    下記の項目について、週に1回の割合で発行する予定です。
    実務家が本音と経験事例で語るマガジンを目指します。
    どうぞ、2回、3回と継続して読んでみてください。一味違うはずです。
    又、トピックとして連載文も掲載してます。

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   今週のメルマガ   第18号  平成15年1月10日 発 行

    今週の目次項目 

   ○今週の解説     
              NO.18  ◎権利証<登記済証>は本当に大切に保管すべきなのか? 

   ○本の紹介     めちゃ安で建つ  第10章 その1

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   今週の解説  NO.18  
   
   ◎ 権利証<登記済証>は本当に大切に保管すべきなのか?
   

   皆さんが不動産の登記に関する本を読むと、必ず登記済証を大切に保管するよ
   うに書いてあります。
   又、登記に関する実務家の土地家屋調査士や司法書士の人々もこれらの書類に
   重々しい表紙をつけて、重要書類ですから大切に保管してください、と言いな
   がら依頼者に手渡すのが普通です。
   

   その理由として

    ○国家機関である登記所は、どんな事情があっても、例えば火事や盗難で
     紛失した場合でも登記済証の再発行はしてくれない。
   
    ○その所有不動産を抵当にしてお金をかりる場合。
   
    ○不動産を売却する場合。
   
   などの場合には、<登記義務者の権利に関する登記済証>として必要になりま
   す。しかし、これらの不動産の登記は、登記済証がないと出来ないわけではあ
   りません。<保証書>を添付することにより、可能です。
   <保証書>による登記については、又、別の機会にメルマガで説明することに
   いたします。
   

   権利証<登記済証>は本当にそんなに命や健康よりも大切か?

   こんな素朴な疑問をもったのは、仲間の司法書士さんからこんな話をきいたか
   らです。その話とは、日本のある一部の地方の人々は登記済証を持たない、
   ということでした。
   その一部の地方がどこであるかは、具体的にはわかりませんが。
   
 
   ここで登記済証について、つらつら考えてみることにしました。
   
   1 登記済証がある為のメリット
   
    ○ 抵当権や根抵当権等の設定が、通常の期間で出来ること

    ○ 不動産の売却=所有権の移転登記等も同じこと
   
 
   2 登記済証がない為のデメリット
   
    ○保証書による登記の場合は保証人が二人必要です。

    ○普通の登記よりも2週間位余計期間がかかること。

    ○登記費用が、3万円から10万円位(知人に保証人がいなくて、第三者に
     依頼する場合)の費用が余分にかかること。
   
    これ位しかありません。
   

   3 登記済証がない為のメリット
   
   登記済証がある為のメリットは、反対側からみるとデメリットにもなります。
   
    ○登記名義人の知らない間に権利書を持ち出されて他人名義になりにくい。
   
     (所有権の移転登記は、印鑑証明書と権利書があればいいだけなので。)
   
    ○家族や親類の中に身持ちの悪い人間がいた場合、権利書によるいろいろな
      トラブルから財産を守れる。
   
    ○安易に衝動的に権利書によって、お金をかりることが出来ない。
   
    ○世の中の裏の社会の金融業者による集金取立てにも、権利書がないからそ
      の相手に預かられる心配がない。
   
    ○本人の知らないうちに名義を変更される可能性が、登記手続が厳格なため
      に少ない。
   
     
   最後に
   
   こうして両者の長所と短所を比較してみると、大変、大胆、かつ、不届き?な
   意見かもしれませんが、会社経営者や沢山の不動産を所有していない我々庶民
   にとっては、権利書など手元におかずに思い切って登記完了後、焼却処分にし
   たほうがいいかもしれません。
   皆さん、如何でしょうか?

   登記された事項は全て、日本国が存続するかぎり国家機関である登記所の登記
   簿に記載されています。
   
   権利証が無いため自分の不動産の登記事項の内容を忘れたかたは、オンライン
   化された登記所であれば10分後には、いつでも、実費でFAXでお送りしま
   すよ。
   

    今週の解説は以上です。


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   トピック 今週の連載文 本の紹介  第10章 その1

      「頑丈で快適なわが家がめちゃ安で建つ」 松田源冶著
 
         尚、目次は、第2号に掲載してありますので、ご参照下さい。
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    第10章 これなら、あなたも「めちゃ安マイホーム」のオーナーに成れる
   
         業者は施主の無知に容赦なく甘える……「保証書は無い」が保証
   

    見栄っ張り行政から抜けられない「市」の建築行政
   
    先の章で「市の住宅行政は市民の常識にそっぽの向きっ放し・・・」を言い
   ましたが、それに、少々付け足します(但し、ここに言う「市」は、主に大都
   市とその周辺都市と考えたい)。

    ご多分に漏れず、筆者の住む市にも、中途半端な未完成道路があちこちにあ
   って、見栄っ張り行政を象徴する、一部権力者の記念碑・勲章のように建てら
   れた、不似合いな超豪華施設が幾つも建っています。かと思えば、市民の建築
   士グループが、善意の「建築相談室」を設置するように市へ要望したところ、
   しどろもどろで、明解な返答を得ることはできなかったといいます。

    もちろん、市には、市民が安全かつ快適に暮らせるよう、市民の住宅を保護
   する責務・使命があり、市民の住む住宅は紛れもない市の財産であり、固定資
   産税や都市計画税などは、市民が、所有する土地や建物の維持管理サービスを
   市から受けるために支払うサービス料と考えることができます。つまり市は「
   県や国からいかにしてより多くの補助金を得るか。うるさい既得権者や利己主
   義な権力者をどうして黙らすか。そのために市民にいかにして税金を多く支払
   わせるべきか」ばかりにうつつをぬかしているようですが、「市民がこの町で
   安心かつ快適に暮らすために市は何を成すべきか。そのために市民が何を協力
   し、地元産業がどうあるべきか」をもっと真剣に考えるべきです(地元建築業
   者は紛れもない地元産業の一員。市民の六〇%以上が持ち家に暮らしている)。
   
    例えば、「市の公共工事は市民の手で、地元業者の手で」と行政に要望する
   と「技術力がない。分離発注すると工事費が高くなる。工期がかかる」が先に
   あって、「なるべく地元業者を使うようにお願いするが、ゼネコンも限られた
   低予算に協力するのだから、使い慣れた業者を使うのが当たり前です。ゼネコ
   ンに依頼するのは市民のためを考えた最良の結論である」の類の答です。何が
   「限られた低予算」ですか。確かに、入札当時の工事費は限られた低予算かも
   しれませんが、完成時の工事費は、追加だの変更だのと膨大な額になるのが殆
   どで、当初予算で完成した施設などは皆無に等しいのです(当初予算の二倍三
   倍という施設が国中の至る所に転がっている)。
   
    そこで、「公共事業は誰のためにあるか。公共施設の管理・運営は誰がする
   のか」と行政に問うと、百パーセント「市民です」の応えが返ってくるのです。
   だったらなぜ市民を参加させないのですか。公共工事は、行政が言う通り「市
   民のため」の事業なのです。市民のための事業とは、企画・開発・施工・運営
   の全てに市民が参加できてこそ言えるのです。

    そこでもう一つ。ちょっと飛躍し過ぎかも知れませんが、「なぜ行政は投資
   ではなく借金をするのか」です。答は簡単です。「市民のため」とは言ってい
   るが、責任を持ちたくないからです。だって、そうでしょう。その借金は、行
   政が勝手にしたものだとしても、市民の借金になってしまうのですから(投資
   は「戻らないかも」を覚悟したもの)。


    コンサルタントは「ローリスク・ハイリターン」の使者
   
    と言う訳で、市行政に施主個人が「めちゃ安」を期待しても実現は不可能と
   言えるでしょう。つまり、あなたのゆとりある暮らしを実現させるには、あな
   た自身が建築の実務を知り、その実務に積極的に参加するしかないのです。も
   ちろん、それを言って、あなたが直ぐ建築の実務に参加できるとは思って居ま
   せん。特に「工事の実務に参加する」などは、「設計は得意だが工事現場は苦
   手」という建築士もたくさんいるぐらいですから、いきなりそれを言われても、
   そう簡単に実行できるものではありません。

    そこで、「施主よ、住宅建築の実務コンサルタントを雇って工務店の社長に
   成れ」と言ったら、直ぐにでも実行できそうな気がしませんか。そのコンサル
   タントについては、「現場監督」の章で既に触れましたが、その仕事は、よく
   聞く「経営コンサルタント」と同じ考え方です。経営コンサルタントの仕事は、
   経営者の経営を診断・指導・管理することで、経営者の経営全般に関わること
   になります。実務コンサルタントの場合も、施主はわが家の最高経営責任者、
   つまり経営者ですから、それと全く同じ考えなのです。もし違うとすれば、建
   築実務を設計と工事にハッキリ区別し、実務コンサルタントには工事のプロフ
   ェッショナルとして活活躍していただくことになります。

    もっと分かり易く言えば、施主のリスク(危険)を回避して、施主により高
   い利益(ハイリターン)を与えるという仕事をしていただきます。但し、断っ
   ておきますが、施主のリスクが無くなるわけではなく、もしかしたら、筆者は
   もっと「たくさんのリスク」を施主に負っていただこうとしているのかもしれ
   ません。でもそれは、例えば、NHKの「クローズアップ現代」で放送された、
   契約した途端に工務店が倒産して建築工事が頓挫した(契約金が戻らない)。

   建替えの為に古い家を解体した途端に工務店が倒産した(契約金と解体費が戻
   らない。解体は別途工事の場合が多い)。工務店が工事途中の中間金を支払っ
   た直後に夜逃げした(工事の中断。総支払額=契約工事代金の90%)。など
   の「業者に知らぬ間に大きなリスクを背負わされていた施主」のリスクとは違
   います。つまり筆者の言う住宅建築の実務コンサルタントは、「建築に無知・
   無頓着がゆえに、元請業者の『わが社にお任せくだされば、施主の手は一切煩
   わせません』の言葉を信じて業者任せにし、建築費(住宅ローン)の支払いで
   ゆとりを失う」という施主にしないため、もっと生意気を言えば、そのような
   施主を再び世に出さないための仕事をするのです。
   

    リスクを知らずして利益を求める無かれ
   
    ビジネスの世界では、リスクを知る者は、より多くの利益を得ようと、その
   リスクを誰かに分配しようとします。とは誰もが分かっているハズですが、わ
   が国では、未だ「顧客にはリスク開示しないが勝ち(利益)」が王道を歩いて
   いて、「リスクの平等」があいまいにされているように思うのです。もちろん、
   リスクの平等とは、双方のリスクが全く同じということではなく、「顧客に顧
   客リスクを全て開示し、それで契約した顧客は文句が言えない」というリスク
   のことです。

    例えば銀行です。銀行が大蔵省と日銀の管理監督下にあって、その経営陣も
   大蔵省や日銀の天下りが大勢を成し、市民の大多数が、未だ「国が保証してい
   るから銀行には顧客リスクは無い」と思っているのです。かと思えば、その銀
   行に「騙された」と血相を変えている銀行被害者が居ます。つまりそれは、銀
   行が、その大多数の顧客心理を利用して顧客リスクをあいまいにしているとい
   うことです。
    と言うと、ある銀行は「あいまいにはしていない。規約書に全部書いてある」
   と反論するでしょう。

   冗談じゃありません。その規約書は、殆どが「虫眼鏡文字」だし、契約した後
   から渡されることがほとんどです。それを「あいまいにした」と言わずして、
   何と言えば良いのでしょうか。そんなのを「リスク開示」とは言わないのです。
   わが国にだって「リスクを知るプロは、リスクを知らない者(善意の第三者)
   と契約するときは、その前にリスクを開示しなければならない」という立派な
   決まりがあるのです。例えば、民法には「売主が瑕疵を隠した場合、買主はそ
   の瑕疵を発見したときから一年以内にその賠償を請求することができる」とい
   う定めがあるし、宅建業法にも「売主である業者は、買主に対して瑕疵の有る
   無しを、契約前に書面と口頭で説明する義務がある」という定めがあるのです。
   
    もっとも、それを言ったところで、銀行被害者にお金が戻ってくるわけでは
   ありません。右は、銀行の場合ですが、建築業者にリスク開示をあいまいにさ
   れて、維持費の掛かる欠陥住宅や不当に高い住宅を掴まされ、その支払いに汲
   々としている施主がごまんと居て、ローンが払いきれなくなってマイホームを
   手放したり、わが家を守るために自ら命を絶ってしまう施主が少なくないので
   す。かと思えば、施主の無知をローリスクと勘違いして、いい加減な工事でポ
   ロ儲けしたつもりが、その手抜き工事が仇となって倒産に至ってしまう建築業
   者も後を絶たずなのです。申には「大々的コマーシャルと強引な営業で施主を
   獲得しても、経費ばかりが嵩み、建物は誤魔化しだらけの安もの建築。請負っ
   ても請負っても採算の取れない赤字続きで、とうとう倒産」という大手住宅メ
   ーカーもあるのです。
   
   
    住宅建築の実務コンサルタントは猛吹雪の中の道先案内人
   
    ところで、あなたは「八甲田山」という映画をご存知でしょうか。それは、
   猛吹雪の八甲田山を、三〇
   数名の小部隊(軍隊)と二〇〇余名の大部隊が、それぞれ別方向から一つの目
   的地を目指して山越えをして、その山中で大部隊の方がほぼ全滅し(生存者七
   名、内一名は自殺)、小部隊の方が一人の犠牲者もなく全員無事に帰還すると
   いうもの(実話)。正にそれは「知らないはリスクである」を語ったものです。

   大部隊の方の指揮官(最後に自殺した最高指揮官)は、地元村人たちの「冬の
   八甲田は恐ろしい山。生きて帰れないかもしれない」の忠告を無視したばかり
   か、彼らが申し出た勇気ある道先案内までも断り、「死」というリスクに対す
   る備えがまるで無かったのです。一方、小部隊の指揮官は、そのリスクを師団
   の兵士全員に知らせると共に、死を覚悟した者だけを参加させ、更には、全員
   を無事帰還させるべく軍や指揮官のプライドを捨て、猛吹雪の中を村人達に道
   先案内をさせたのです。

    その猛吹雪の中の道先案内人こそが、住宅建築の実務コンサルタントなので
   す。つまり、そのコンサルタントの力を借りて、建築実務に無知・無頓着がゆ
   えの施主のリスクを最大限に軽くして、少なくても、坪六〇万のブランド住宅
   を坪四〇万で建ててしまおうというのです。先の「たくさんのリスク」とは、
   その差額二〇万円分のリスクのことで、二〇万円の利益を得るための道先案内
   を、そのコンサルタントにお願いしようということなのです(コンサルタント
   の報酬については第八章を参照されたし)。
   

   第10章 その1 終わり 



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