メルマガ:タンポポ塾の家造り雑学的総合大学
タイトル:タンポポ塾の家造り雑学的総合大学 NO.12  2003/01/07


   今週のメルマガ   第 12 号 平成14年11月28日 発行

            タンポポ塾の家造り雑学的総合大学

        建築関係の訴訟・マンション監理・登記実務・家族間の法律等の
      実務事例集と判例解釈のゴチャマガジン。
      全部読んだら、あなたも不動産実務大学の卒業生になれるかも?

    発 行 人    株式会社 ダイヤ設計  建築・行政・法務の総合事務所      
                     メール:kdaiya@f7.dion.ne.jp
                              URL:http://www.h3.dion.ne.jp/~daiya  

     発行人ごあいさつ

    下記の項目について、週に1回の割合で発行する予定です。
    実務家が本音と経験事例で語るマガジンを目指します。
    どうぞ、2回、3回と継続して読んでみてください。一味違うはずです。
    又、トピックとして連載文も掲載してます。

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   今週のメルマガ   第12号 平成14年11月28日 発行

    今週の目次項目 

     ○今週の解説  NO. 12 ◎土地登記  地番&総合のページ その2
     ○本の紹介     めちゃ安で建つ 12回目 第8章 その2

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   今週の解説   NO.12  ◎土地登記  地番&総合のページ その2
   
   
   <Q> 測量士と土地家屋調査士とは、どのような違いがあるのでしょうか? 
   
   <A> 測量士または測量士補と土地家屋調査士は、いずれも国家資格です。
   測量士となるには、測量法第五十条の一から四までのいずれかの資格を有する
   か、五の国土地理院の長が行う測量士試験に合格した者で、国土地理院に登録
   をしなければなりません。

   一方、土地家屋調査士となるには、法務大臣が行う土地家屋調査士試験に合格
   した者か、法務局や地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に十
   年以上従事し、法務大臣が認めた者です。
   そして調査士の業務を行う者は、県単位に設置されている土地家屋調査士会に
   登録、入会した会員であることが必要です。

   測量業を営むには、測量業者の登録証を建設大臣から受けなければならず、営
   業所ごとに測量士を一人以上置かなければなりません。
   測量業者は、主として国や地方公共団体等の行う基本測量や公共測量を請け負
   って実施します。

   土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記について
   必要な土地または家屋に関する調査、測量、申請手続きをすることを業としま
   す。

   次に不動産の表示に関する登記について説明します。まず不動産の権利に関す
   る登記は、その権利の得喪や変更を第三者に対抗するためのもので、その登記
   申請は当事者の任意の意志によりますが、不動産の表示に関する登記は、権利
   関係の土地や、建物の状況を常時登記簿上明確にして、不動産取引の安全と円
   滑とに寄与するためのものですから、不動産の所有者に登記の申請を強制する
   必要があるのです。

   つまり、新たに土地が生じた時、地目や地積に変更を生じた時、土地が滅失し
   た時、建物を新築した時、建物の所在・種類・構造・床面積もしくは家屋の番
   号を変更した時、建物が滅失した時等で、その申請業務を怠った者に対しては、
   過料が課されることになっております。
   
   
   <Q> 住宅を新築しましたが、住宅金融公庫のパンフレットでは司法書士に手
   続きを依頼するよう書かれていますが、それでよろしいのですか?
   
   <A> あなたの建てられた建物はまだ登記簿がない状態ですので○市○○町○
   ○番地に木造○○ぶき○階建ての住宅が、○○○○の所有者のものとしてでき
   ましたという表示登記と、その不動産に所有権という物件の権利を公示するた
   めの保存登記という二つの登記が必要です。

   ここに書いた表示登記の部門を所有者に代わって行うのが、土地家屋調査士で
   あり、権利等に関する登記を代理するのが司法書士です。したがって新しく建
   てた建物の登記は、土地家屋調査士が表示登記を完了した後に司法書士が保存
   登記をするという順序ですので、パンフレットの説明には少し疑問があります。
   
   登記簿の第一面はその不動産の現況を示す表題部という部分ですが、この表題
   部の変更、更新等の生じた事項を正確に登記簿に反映させることを目的として
   いる専門家が土地家屋調査士で、その会が土地家屋調査士会です。

   建物に関しては増築や今まで一戸として利用していた建物を区分けして二戸以
   上にする場合、また雨もり等により屋根をふき替えトタンぶきから瓦ぶきにす
   るなど形態の変化や、構造の変更及び、今まで物置だったものを改装して居宅
   としたなどという変更に伴う登記は司法書士でなく土地家屋調査士が行う登記
   業務です。 
   

   <Q> 私の宅地は、二筆で179番1と182番2になっており、私の住所は
   182番2となっております。合筆した時にその地番を使うことができますか
   ?
   
   <A> 合筆の登記とは、数筆の土地を合併して一筆の土地とする登記をいいま
   す。合筆の登記の申請は、登記簿に記載された所有者または所有権の登記名義
   人の申請によって行われます。その登記により効力が生ずるので、他の者はこ
   れをすることができません。
   なお、土地が共有の場合は、共有者の一人から申請することはできず、共有者
   全員で申請することになります。

   不動産登記法上の制限には、担保権や処分の制限の登記のある土地、所有権の
   登記がある土地と所有権の登記のない土地については合併できません。ただし
   受け付け年月日 、受け付け番号等、全て同じである抵当権、根抵当権について
   はこの限りではありません。
   つぎに合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもって、その地番とす
   ると規定されております。また同一の本番に支号を付けて土地の全部を合筆し
   た場合は、その支号を除いて、本番をもって合筆した地番とするとなっていま
   す。

   以上の理由であなたの地番は、179番1となりますが、不動産登記手続準則
   (百十六条六)で「特別の事情があるときは、規定にかかわらず適宜の地番を
   定めてさしつかえない」とありますから登記官が特別の事情ありと判断できれ
   ば、その地番を使うことができます。その場合は、その旨を記載した上申書(
   印鑑証明書)を添付すればよいと思います。
   以上のことを考慮して合筆登記をすれば希望通りの地番となります。
   
   
   <Q> 妻の母親名義の家屋(現在私たちが住んでいる)を私がお金を出して増
   改築しましたが、その登記をしないうちに母が亡くなりました。土地は借地で
   すが、この建物を私の名前で相続の登記はできるでしょうか?
   
   <A> 奥さんのお母さん名義の建物をご質問の方の名義で相続登記できるかど
   うか、と言うことですが、これはあなたと、奥さんのお母さんとの間で養子縁
   組がなされている場合か、またはあなたへの遺贈の遺言がない限りまず無理で
   す。
   奥さん名義で相続登記するしかありません。

   あなたの資金負担でこの建物に増改築を加えたとのことですが、まず奥さん名
   義で相続登記をしてからつぎに増築の登記をすることになります。しかしなが
   ら、増築部分だけあなたの名義で登記することはできませんので、一度は奥さ
   ん名義にて増築登記を申請しなければなりません。
   このままでは増築部分も奥さんの所有権になってしまいます。
   資金を出したのはあなたなのに、「そんなバカな」と思われるでしょうし、贈
   与税もかかってくる恐れがあります。

   ここのところが一番苦慮させられるわけですが、前述のように普通の増築登記
   に必要な建築確認や工事人の工事完了引渡書(これらはあなた名義のもの)な
   どをそろえ、増築部分が民法第二百四十二条(不動産の符号)に該当し、所有
   権が奥さんに帰属した旨の、あなたの承諾書とともに奥さん名義で増築登記申
   請をした後、次に増築した部分と、もとの部分の価格による割合を計算して、
   その割合で共有の登記(あなたへの所有権一部移転)をしてください。
   そうすれば結果的に奥さんとあなたの共有の建物ということになります。

   ただし、贈与税のかかわりもありますので、事前に税務署とよく相談してから
   にしてください。
   
   
   <Q> 私は、現在一戸建ての貸家六戸を所有しておりますが、これらを取り壊
   して、その後に鉄骨造り三階建ての共同住宅を建てたいと思っております。そ
   の際に工事が終わって登記をする場合に共同住宅と貸家6戸の登記がだぶって
   しまうことになりますが、どうしたらよいですか。また貸家6戸には、銀行の
   抵当権が設定してありますが、銀行にあらかじめ話をしておいた方がよいでしょ
   うか?
   
   <A> 銀行に抵当権が設定してある建物を取り壊して新たに共同住宅を建築し
   たいとのことですが、銀行から融資を受け、抵当権の設定契約を結ぶ際には、
   抵当に差し入れた不動産などに重要な変動がある場合には、あらかじめ銀行の
   了解を得ること、との条件が付されているのが通常です。

   したがって、あなたの場合も建物の取り壊しに着手する前に抵当権者である銀
   行の了解を得なければなりません。無断で取り壊して残りの債務全部をただち
   に返済するよう迫られることもありますので、注意してください。
   建物を取り壊した場合は、建物の所有者は現実に取り壊しの完了した日から、
   一ヶ月以内に建物の滅失の登記の申請をしなければなりません。
   申請手続きは、土地家屋調査士が申請人の依頼を受けて行うことができます。
   
   法務局に対して、建物滅失登記申請がなされますと、登記官が現地調査をして、
   実際に建物が取り壊されたことを確認してから、建物の滅失の登記がなされま
   す。
   
   
   <Q> 農地を買ってしばらくしてから家を建てました。最近西側に隣接する通
   路の所有者から、通路が狭いので是非通路を拡幅する分だけ譲ってほしいとい
   われました。それにかかる費用は隣接所有者の負担ということで承諾しました。
   少したってから私の土地の謄本を持ってきたので、それを見ると地目は畑で、
   しかも私の住所は買ったときの住所のままでした。農地転用の書類も出したし、
   住民登録の手続もしてあるのに登記簿は変わらないのですか。またこれにかか
   る費用はどちらが持つべきですか?
   
   <A> 不動産と右記は当事者の申請により行われることになっていますので、
   質問のような場合にも申請がなされていなければ地目や住所は変更されません。
   
   質問者が買われたときには、前所有者とともに農地法所定の手続を行い、それ
   に基づきあなたと前所有者が共同で所有権移転の手続を申請してあるので、あ
   なたが所有者として登記されているわけです。
   ところがその後取得した農地に家を建てて宅地とした場合には、不動産登記法
   では地目変更してから一ヶ月以内にその旨の登記申請をする必要があることに
   なっています。この場合には、適法に農地を宅地に転用してありますので、そ
   の旨を証明する書面、すなわち、前所有者から農地を取得したときの農地法五
   条の許可書または届出受理通知書を 添付して地目変更の登記申請をしてくださ
   い。

   なお、代理人に依頼する場合にはもよりの土地家屋調査士に依頼してください。
   住所についても申請主義が取られていますので、 市役所などで住所移転の手続
   をしても登記簿に記載された住所は変更されません。
   これを現在の住所に直すためには、その変更を証明する書面として住民票を添
   付して申請しなければなりません。代理人に依頼する場合には司法書士に依頼
   してください。

   またこれらに要する費用は義務履行のために売り主が負担する、または契約に
   要する費用として売り主、買い主が平分して負担する、あるいは権利取得のた
   めの費用として買い主が負担する場合の三通りの考え方がありますので、話し
   合いで決めていただくとよいでしょう。


   今週はここまでです。


      ===================================================================   

   トピック 今週の連載文 本の紹介 第12回  第8章 その2

      「頑丈で快適なわが家がめちゃ安で建つ」 松田源冶著
 
         尚、目次は、第2号に掲載してありますので、ご参照下さい。
   -------------------------------------------------------------------

    ◎ 監督はもっと優遇されて然るべき者(施主の理想が業者の理想)
   
    さて、先の監督が「給料が安いから施主の満足など考える暇がない」と言い
   ました。筆者も「監督は建築工事の要」と思って居ますから、彼の気持ちは痛
   いほど分かります。確かに、本来の監督が成すべき仕事の重要性を考えたら、
   もっと優遇されて良いはずなのです。
   
    ちなみに、本来「棟梁」とは、設計から建物完成までの一切合切を監理・監
   督できる大工の頭、今で言う個人経営の「町工務店の社長」のことを言うので
   すが、「販売は営業マン、実務の設計は設計士、工事は現場監督が20種以上
   もの業者・職人を一手に動かして建物を完成させ、そのアフターも管理・監督
   する」というサラリーマン監督の世界では、建築実務の長であり、「棟梁」に
   一番近い立場にあるのは現場監督だと思うのです(この世界の大工さんはサラ
   リーマン化している)。
   
    その彼らが「給料が安すぎる」とボヤいているのです。しかし、彼らは、単
   に給料が安すぎることを不満に思っているのではなく、監督としての権限がな
   いことを不満に思っているのです。特に先の監督の場合、元請業者からは施主
   との会話を禁止され、会社のために工事費を値切りに値切って、業者に施工ミ
   スを指摘すれば苦虫ヅラをされ、会社に追加工事を請求すればダメ監督と罵ら
   れ、それでいながら会話を禁止されている施主の機嫌を損ねないようにしなけ
   ればならないのです。野球、サッカー、バレーボールなど、チームスポーツの
   監督の権限は絶対です。もちろん、住宅建築もチームプレイであり、現場監督
   は、プレイヤーである施工業者・職人の頂点に立つ全権者・責任者でなければ
   ならないのです。

   つまり、先の監督は「給料も安い。権限も無いでは、施主を満足させることな
   どできない」と言ったのです。

    少しは、監督の立場・重要性というものを実感していただけたでしょうか。
    実は、先の監督の話には続きがあるのです。以下は筆者と彼(監督)との会
   話です。
   
   
   筆者 だったら施主を工務店の社長にしてしまえば良いじゃないか。つまり施
   主の直営方式で、施主直属の現場監督になるんだよ。そうすれば、施主とも気
   兼ねなく詰もできるし、施主の満足にも真剣にならざるを得ないし、監督の権
   限だってあるし、収入も今よりは大幅にアップするかも知れないよ。もちろん、
   『頑丈で快適な住宅をめちゃ安で建てる』ということが条件だけどね。
   
   監督 藪から棒に、急に何を言い出すんだ。
   
   筆者 いや、実を言うとね、現場監督に実務コンサルタントになって欲しいと
   思っているんだよ。あな たの監督になった経緯は知らないが、もし「おまえ
   には設計の才能も営業の才能も無いようだから現場監督でもしておれ」で監督
   になったとしたら、あなたはそれに大いに感謝すべきかもしれないんだ。なぜ
   なら、建築業者は現場が命。その一番の心臓部にいきなり放り出してくれたの
   だから、感謝こそすれ「給料が安い」などと言ってられないんじやないかな。
   
   
   監督 ハッキリ言ってくれるね。それほど単刀直入ではないが、確かにその通
   りだよ。
   
   筆者 つまり不満があるなら、「サッサと独立して、工務店をやれ」と言って
   るんじやないのか。
   
   監督 おいおい調子に乗るなよ。子供が二人もいて、この不景気に独立なんて
   できるわけがないじゃな
   か。だいいち、建築費に相当する所持金が無ければ請負工事なんて出来やしな
   いよ。軍資金が無くて、どうやって業者・職人に支払いをするんだ。
   
   筆者 そう来ると思ったよ。もし所持金や軍資金が無ければ工務店ができない
   というなら、請負業者が 全てのリスクを負わなければならないということだ
   よ。つまり、施主や下請業者のリスクはゼロということだ。冗談じゃない。実
   際、今の世の中で、住宅メーカーがリスクを全部請け負ったりしてますか。負
   うどころか、リスクの大半を施主や下請業者に押し付けているではないか。
   
   監督 でも、実際そうなんだから仕方ないよ。住宅メーカーの下請業者の支払
   いは、手形なんだよ。工 事が終わって現金になるのは、請求してから短くて
   3ヶ月、長いのは半年も先なんだ。現金にならなきゃ支払はできないし、施工
   業者はそんなに待ってはくれないよ。ましてや職人は、毎月キチンと払ってや
   らなければ生活が成り立たないじゃないか。
   
   筆者 現実は確かにその通りだよ。でも、なぜそんな風になってしまったかと
   言うと、第一に「土地は絶対下がらない」の土地神話が長い間続いたから、業
   者が「土地の所有者なら金の取りっぱぐれは絶対有り得ない」とリスクを独占
   することができたからなんだ。第二に、施主にリスクを知らせないことで業者
   の受注を容易にすることができるから。第三に、リスクを独占することで工事
   を容易にすることができるから、なんだよ。当たり前だが、利益のあるところ
   に「リスクゼロ」は無いんだよ。
   つまり、利益とリスクはお互いに共有し合っているんだ。共有には「共有持分
   の多い者は共有持分の少ない者より有利」の法則があって、不動産の区分所有
   法に「マンションの共有者が物事を決めるときは、共有者の持つ床面積の分が
   議決の権利となり、多く所有する者は議決権も多く所有する」というのが有る
   けど、その議決権をリスクに置き換えれば、「利益をより多く得たい者は多く
   のリスクを持つ。リスクを多く持つ者には利益を多く得る権利が与えられる」
   と言えるはずなんだ。つまり「利益=リスク」ということができるんだよ。
   
   監督 なんだか、難しくてよく分かんないけど、つまり「建築工事でポロ儲け
   したかったら、軍資金を たくさん用意して、できるだけ多くのリスクを負え」
   ということなんだろ。
   
   筆者 あなたもSホームが倒産したことは知ってると思うけど、Sホームは、
   施主や下請業者に我が儘放題を言い、倒産した時に、支配していたはずのリス
   クを下請業者や施主に残して行ったんだよ。
   つまり、俗に云う「下請業者の連鎖倒産」は、リスクを支配した元請業者が、
   下請業者に負の財産分与、つまりリスク分与をするからなんだが、それは、元
   請がリスクを支配していた訳ではなく、もともと下請業者にあったリスクで、
   下請が元請を「リスクの支配者」と勘違いしたか、元請にそう錯覚させられた
   だけなんだよ。もちろん、そのリスク分与は施主も受けるんだ。欠陥が見つか
   っても、下請業者にも保証責任は有るけど、下請も倒産の危機にあって、それ
   どころではないし、無料の修理に修理代を払わなければ成らなくなってしまう
   んだよ。
   
   監督 それに、Sホームは施主のお金までもネコババしてたと云うじゃないか。
   
   筆者 そう、ローンの支払いに充てるアパートの家賃をね(管理を請け負って
   いた)。
   
   監督 そんなことより、コンサルタントの話はどうなったんだよ。
   
   筆者 そうそう。軍資金なんか無くても請負工事はできるんだよ。だって、工
   事代は全て施主が払うんだから。八百屋さんやスーパーに行って「代金を立て
   替えて」なんて言わないだろ。何も工事を請け負う側が銀行のマネごとなどす
   る必要はないんだよ。
   
   監督 もっと具体的に話してくれよ。
   
   筆者 その前に、そのコンサルタントは、施主を工務店の社長とみなして、そ
   の社長に雇われた管理・監督者なんだから「請負工事」とは言わないんじやな
   いのか。
   
   監督 でも、普通は工務店の社長が請負人になるんだけど、それを代行するん
   だろう・・・。
   
   筆者 コンサルタントの場合、施工業者ではないから、工事費の支払いがある
   訳じゃないし、その支払い義務は施主に有るわけだから、やはりコンサルティ
   ング業なんだよ。そこで、そのコンサルタントを具体的に説明すると、例えば、
   あなたが、あなたの社長に「私の家の工事はおまえに任せる」を言われたら、
   「もしドジッたら」は別にして、あなたは、「この仕事で社長を喜ばすことが
   出来たら昇進して給料も上がる」などと期待するだろうし、仮にあなたが独身
   で、その社長に綺麗な独身の娘さんがいたら「この仕事で社長の信頼を得たら、
   もしかしたら社長に成れるかもしれない」なんてことを思ったりするんじやな
   いのかな。ではないにしても、社長や社長の家族に喜ばれたいと必至にがんば
   るんじやないのか。つまり、その素直と、一般の施主が聞いたらピックリする
   ような安くて頑丈に出来てる工務店の社長の家を、一般の施主にも提供するん
   だよ。
   
   監督 もちろん、社長の家ともなれば、いい加減なことはできないし、期待さ
   れれば期待に応えなけれ ばならないし、こっちもそれなりに期待しますよね
   ・・・。
   
   筆者 では、あなたに社長の代理人としての権限が有ったら、施工業者・職人
   にどのような接し方をす るだろうか。例えば、あなたの指示通りの工事を業
   者がしなかった場合、どう対処するのだろうか。
   でなければ、業者・職人はどのようにあなたと接するだろうか。
   
   監督 もちろん、施工ミスをみて見ぬ振りしたり、業者・職人に妥協したりは
   しないだろうし、彼らも 苦虫ヅラはしないと思うよ。俺にその権限が与えら
   れればネ。
   
   筆者 おいおい、業者・職人の前で「権限」なんて言葉は使わないでくれよ。
   私の言う権限は、あくま でも「信頼される」という意味なんだから。
   
   監督 もちろん分かってますよ。あなたの言うコンサルタントというものがだ
   いたい見当がついたが、 その報酬はどうなるんだい。それに、施主はどうや
   ってみつけるんだい。
   
   筆者 正直、その明解な答は無いんだ。ただ確実に言えることは、あなたも実
   感しているように、特に 住宅メーカーの場合だが、施主の支払う建築費の三
   割以上が実施工事とは関係ないところに消えているということなんだ。もちろ
   ん、その「三割」が無駄と思うかどうかは施主次第なんだが、あなただって「
   直接俺たちに頼めばめちゃ安で建つのに」と、いつも思っているはずなんだよ。
   現に、メーカー価格の三、四割安でもあなたの会社は成り立っているし、私の
   マイホームだってメーカーの半分以下で出来ているんだからな。そう考えれば、
   コンサルタントの報酬だつて十分計算できるはずだよ。なにしろ、あなたは実
   行単価を知っているんだからね。
   
   監督 つまり、その実行単価で工事をして、コンサルタント料は施主との交渉
   と言うことか。
   
   筆者 まあ、そう言うことだ。もっと過激に言えば、あなたの会社の社長(下
   請工務店の社長)が得るだろう利益があなたの報酬になるかもしれないという
   ことだよ。
   
   監督 えっ、そんなに頂けるんですか。
   
   筆者 つまりあなた次第っていうことさ。でも、断って置くけど、もしこの仕
   事をする場合、コンサルタントの最初の仕事は、工事の見積を業者に提出させ
   て、その工事費を決定させることだよ。間違っても「どうせ建てるんだから少
   々高くても」の類を言っちやダメなんだ。工事費を決めるに当たっては、それ
   が必要か否かを施主と一緒になって考え、維持費も含め、建築費の無駄を無く
   して、施主の支払い能力を高めることなんだ。となれば、もちろん、コンサル
   タント料も最初にチャンと契約して置く必要があるわけだ・・・。と言う訳で、
   まだまだ疑問は残るだろうけど、近々本を出すから読んでくれよ。もちろん、
   いま話したことや、建築士や他の業者のことをたくさんの施主に知って頂くた
   めにね。
   
   第8章 その2 終わり
   
   今週はここまでです。次号をお楽しみに!


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   司法書士事務所(合同)。建築・行政・法務の総合事務所です。

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   の調査診断、建築訴訟鑑定書作成、マンション監理・長期修繕計画、土地建物
   登記・測量、法人設立、各種許認可申請等の業務を行っています。

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