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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 月刊小説メールマガジン 2002年11月15日 発行 『君が好き!』 vol.48 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 皆様こんにちは、美智子は最近ちょっと寝不足ですがいかがお過ごしですか? 読書の秋に、メールマガジンのお届けです♪ 私は最近、まったり遊べるタイプのネットゲーム(?)をよく楽しんでいるので すが、皆様はどうですか?(*^ー^*) でも私みたいに、夜なべが過ぎるのはお肌によくないのでほどほどに(笑) ではでは、メールマガジンのはじまりはじまり〜☆です (瀬乃 美智子 拝) ====================================================================== 今月の目次 ▼君が御世に・11 篠原美姫緒 ▼ドラゴンラヴァ・33 瀬乃美智子 ▼あとがき ====================================================================== 君が御世に11 篠原美姫緒 笙子と資盛の恋は、密かにはじまった。宮中にいて顔を合わすことがあって もお互い、見知らぬふりをしなければならない。 それでいて、資盛は閑をみては笙子の部屋へ通うといった生活である。 なんとなく、みんなの噂話がじぶんのことのように思えて仕方が無い。朝夕 と女のサロンでは、誰々と誰々がどうこうしたとか、そんな話が絶えないのだ。 ひとのことはひとのことと割り切ってはいるものの、さまざまな思いで心が乱 れてしまう。 こんなときは大好きな歌を詠んで気を紛らわすのが一番である。 里にて遥か西の方を眺める梢は、夕日の色に染まってしみじみと感動してい ると、暗くなって時雨になってしまった 夕日うつる梢の色のしぐるるに心もやがてかきくらすかな 秋の終わり、御座(おまし)のあたりに鳴いていたきりぎりすの声が聞こえ なくなって、ほかでは聞こえる。 とこなるる枕の下をふりすてて空きをばしたふきりぎりすかな 日ごろから思っていたけど、尾花(すすき)が、袖のしめっぽいのをぼんや りとみているような気がして…。 露のゐる尾花が末をながむればたぐふ涙ぞやがてこぼるる 物思へなげけとなれるなばめかなたのめぬ秋の夕ぐれの空 秋の月あかき夜 名に高きニ夜のほかも秋はただいつもみがける月のいろかな 季節の流れは早い…。 「おや、右京どの。前にもまして美しくなられた」 似絵師の藤原隆信が、笙子の顔を描きながら言った。 「恋をしている女子の顔ですね。右京どのに思われている男はさぞうらやまし い限りですね」 「た、隆信さま! なにをおっしゃいます!」 宮中絵師である隆信は、人の顔を描くことにすぐれ、神業とまで言われるほ どである。絵の練習に、と笙子の絵を描いているのだ。 だが。有名なのは絵の腕前だけではない。 人は彼を「好き者」と呼んでいる。すなわち、彼についてまわるのは女との 色恋いの話しばかりであった。 この男にはそれだけの魅力があるらしい。歳は笙子と15も違う。が、そん な好青年に、笙子は資盛とは違った大人の男を感じていた。 「隆信さま。じっと見ないでくださいな。はずかしい」 隆信にみつめられて、真っ赤になる笙子。 「はははは、あなたの美しい顔を書いているのですよ。じっと心の奥まで覗か せてくださいな。」 「やめてください。はずかしい…」 「心が見えてこそ、顔の表情が豊かに描けるのです。さぁ、わたしに見せてく ださいな。宮中の才女とうたわれる右京どののお顔を描くのです。私とてはず かしい絵はかけません」 男にもちあげられて、喜ばない女はいない。 さぁ、できましたよ、と隆信は描きあがった絵を見せた。 「こ、これが私ですか…?」 あまりの絵の美しさに、自分の顔であるとは思えなかった。 《つづく》 ====================================================================== ドラゴン ラヴァ・33 by瀬乃美智子 海里の刃が、魔王の眼前で空を切る。 尊大な魔王は、よもや非力な下僕が自分にはむかうなどとは思っていなかった のだろう。 魔王がその一閃目を避けたのは、海里の腕が完全に振り下ろされたた直後であ った。 「っ!?」 反射的に、微かに後退した魔王の体。 しかし刃が自分に触れていないことに我に返った魔王は、下僕の刃を一瞬でも 恐れて身を退いた自分自身に憤り、その矛先を下僕…海里へと向けた。 「貴様、我を裏切ったなっ!愚かな文官風情が!!!」 魔王の体が巨大な闇と共に膨れ上がり、海里から刃を奪おうとその手が差し出 される。 「っ!!」 しかし、その体が海里を捕まえる直前で動きを止める。 魔王は不可思議に歪み始めた自分の視界に異変を感じ、自分の顔に手をやる。 そこからは、人間の血のかわりにあふれでる異形ものものの源―――、黒き力 の奔流がこぼれ出していた。 その傷口は、力を解放しようと膨れ上がりつつある体に合わせ、その圧力に負 けたかのように大きく広がっていく。 「―――っ!?!」 その勢いを止められぬ魔王は、慌てふためき傷口を押さえ、その傷を負わせた 海里を睨みつけた。 「き、貴様――…。」 その手が、海里が握り締める刃を求めて空を伸びる。 「――その刃を渡せ!!!」 「嫌だっっ!」 魔王の迫り来る手をかわそうと、再び振り払われる刃。 それはまたしても、触れることなくその先の魔王の腕を切り落とす! 「ぎゃあぁ…っ!!!!」 その端から、こぼれ出す黒き力。 奪われていく力。 それは最早、魔王にも止められぬものだった。 「みておれよ!カイリ!!」 次の瞬間、叫んだ魔王の体は周囲に霧散し、散らばった黒い力の本領は屋敷の 一角を目指して流れ去っていったのであった――…。 「………っ…。」 魔王の姿が完全になくなった後、海里は思わす腰を抜かしてその場に座り込ん でいた。 (彼女が…、守ってくれた…。) 自分が愛した竜の形見の牙で作られた伝説の刃。 触れずとも、その刃の波動だけで魔王の体を引き裂いたその威力に震えながら も、愛したものに守られたという実感に涙が滲む。 しかしなんたる威力だろう…。 あの上級戦闘魔族の力ですら傷つけられない竜の皮膚さえも傷つけることがで きるという噂は聞いていたが、ここまでとは。 海里は当初、同族の竜の体の一部だからこそ竜を倒す力を持っているのだと思っ ていたが、そうではなかったらしい。 この…竜の牙で作られた刃には、何人たりとも防ぐことが出来ない力が秘めら れているのだ。 先程は咄嗟のひらめきで魔王にも効くのではないかと重い使ってみたが、効果 は予想以上のものであった。 しかし、色々と思考を巡らせていた海里は、次の瞬間、はっと我に返る。 「―――…竜彦たちが危ない!」 魔王は滅びたわけではない。 ただ、一時的に体の形を保てなくなっただけだ。 おそらく、もう一体に分かれた体と融合しに戻ったのだ。 「この剣を彼らに渡さなければ!」 先程は不意をついたからこそ魔王をあそこまで追い詰められたが、次もあそこ まで自分に出来るとは思えない。 なら、奴を倒すことができる可能性がある彼らに渡さなければ! 何より、もしここで自分が逃げ出すことに失敗して捕まることがあれば、この 刃は魔王の手に落ち、火竜たちを追い詰める脅威となってしまう! 自分が成すべき事がわかった海里は、魔王の力の奔流が飛び去っていった竜の 池の一室に向かい、自らも駆け出したのであった…。 《続く》 ====================================================================== あとがき あっ!そうそう!大事なお知らせです! 君が好き!のホームページのアドレスが、サーバー会社の運営上の都合で変更 となりました。 http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/ になります。どうぞ起こしになって下さいませ(*^ー^*)ノ゛ ではでは、次のメルマガまでまた今度〜♪ 君が好きはリンクフリーです。ご意見ご感想をお待ちしております♪ キリ番をGETされた方は、掲示板にご報告お願いいたします。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 月刊小説「君が好き!」メールマガジン 2002/11/15 48号 発行責任者 :篠原美姫緒 kimigasuki@1-emishop.com Webページ:http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/ 君が好き!メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142 loveyou 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 |