メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』02/11/01  2002/11/01


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月刊小説メールマガジン         2002年11月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.31
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 こんにちわ。篠原です。
 今年もあと残すところ2ヶ月となりました。日に日に寒くなりますね;;
朝起きるのがつらく、そしてパソコン中毒者には、指先の冷たい季節がやって
まいりました。そう、指先。おこたに入ってぬくぬくやりつつも、指先だけは
寒いんですよね…。

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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 【ちょっとおかしな二人の話《再会編2》】瀬乃美智子
●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒
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     【ちょっとおかしな二人の話《再会編2》】
                           by瀬乃美智子


「何で正体を教えてくれないんですか? 同業者なんだからいいじゃないです
か〜。」
カミアは半分泣きそうな顔で青年に詰め寄る。
「別に意地悪で言ってるわけじゃないんだけどな。俺は情報部の中でも特殊な
位置にいる人間なものでね。専属契約をしているわけでもないし、仕事もかな
り変わってるから…。」



そう言わずに〜!と、泣きそうな表情を浮かべる少女に、大丈夫大丈夫と、青
年レイモンドは笑って答えた。
「君の上司には手を回して怒られないようにしてあげるから」
「えっ!?そんなことができるんですか??」
うん、もちろんと微笑む青年に、カミアはほっと胸を撫で下ろす。
…いや、もう少し怪しんだ方がいいかと。

「それにね、俺たちはまた出会うし…。しかも、かなり近いうちにね」
「え?」
カミアは、一瞬相手が何を言っているのか分からず小首を傾げる。

今、なんて…?


あまりよく理解できない様子の彼女に、青年はにっこり微笑んでその内分かる
よと言うばかり。

「…でも、その時はお手やらわかに。あまり痛いのは得意じゃないから」
「??」

(変わった人…。)
自分もときどき変わっていると言われるがこの人程じゃない。

「あっ、でもひとつたけ!」
届けてもらったスーツケース。身元が分かるものは入ってなかったはずなのに、
どうして届けられたのか。
…しかも、部署のある情報部本部ではなく、出動先のあの場所に。
「あぁ、あれはね」

廊下に出るカミアの背中を押しながら、レイモンドはにっこり笑って告げた。

「…そういうのが、俺の仕事だから」

更に首をかしげるカミアの背後で、パタンと扉は締められた。


「…まぁ、なんだ。うちの情報部も海千山千の集まりだよなぁ…。」

カミアの上司、第三狙撃部隊の隊長カッセルは深々と溜め息をついた。
カミアが帰ってくる少し前にどこかから呼び出しが来て席を外したと思ったら、
帰ったみればこの調子だ。
言いにくそうに報告をしたカミアにも、それ以上突っ込む事もなく、早々に席
に戻るよう促す。

何だか変だぞとささやき合う隊員たちを背に、カミアは先程の青年の言葉通り、
さしたる追及も無かったことにほっと胸を撫で下ろしていた。


(あの人の言った通りになっちゃった。)

カミアは自分のデスクに座るとほっと胸を撫で下ろした。
元来あまりくよくよ悩まない性格の彼女は、机上にどんと置かれたアタッシュ
ケースから愛用の銃を取り出すと、手入れを始める。
部品の全てを磨き上げ、必要な銃弾等を揃える姿は幸せそのものという表情で
ある。

「やばい…。」
「ああ、かなりやばいな」

そんな彼女を見て、同僚連中はこそこそと囁きあう。
何故なら…。


「あいつが銃の手入れを念入りにし出す時に限ってあるんだよな事件が…。」
「まさにトラブルメーカーならぬ、トラブルメーター…っ。」

同僚たちがそう言った瞬間、部署内に設置された警告ランプが赤く点灯しだす。
緊急出動の合図である。

しかし普段なら受付担当の緊急電話が鳴るはずが、鳴ったのは隊長のスクラン
ブル専用電話。
けたたましく鳴り響いたそれを受け取った隊長は、短い会話の後、隊の全員を
静かに集合させた。
普段なら出陣さながらに飛び出す気性の彼には考えられない行動である。

「お前ら、特別任務だ」
「…どうしたんですか、隊長? 様子が変ですが…。」
「大事件だ、そりゃあもうとんでもないな。場所はこのビルの23階。―――特
殊企画室のフロア―だ」
「この真上ですか!?」
「…本部内占拠!??」

予測出来ぬ自体に、部室内の緊張は一気にピークに達した。

「隊長!」

そんな雰囲気の中、カミアが手をあげる。
そして、彼女が言った台詞は――…。

「――で、私は誰を撃てばいいんですか?」
「お前は撃てればいいのかあぁぁぁぁ!!!!」
「はい。それが私の仕事ですから♪」

                            《続く》


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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第九章 聖戦

 四神獣――北に玄武 南に朱雀 西に白虎 東に青龍
 そして中央に麒麟
 かれらは太古の昔からヒンメルの大地を守る聖獣として祭られていた。ヒン
メルの初代皇帝ミトラもまた聖獣を操り魔物を封じたという。
 その封じた魔物。それこそこの四神獣にほかならない。
 なぜミトラ武帝の時代にこの四神獣は、ヒンメルの大地を揺れ動かすほどに
暴れていたのだろうか。
「史書には、魔大戦の記録はわずかしか残っていないが、四神獣が蘇ったとい
うことは書かれていない。むしろ、暴走していた聖獣たちやそれを許していた
人間たちの記録しかないな」
 カレリニオはそういった。
「四神獣は私たち聖獣の神。ほんとは蘇らせたりしちゃいけないのよ! 彼ら
はこのままそっと大地の中に眠りつづけるべきだわ! なんでいまになって蘇
らせなきゃいけないのよ!」
 ユイは激しく首をふると泣きじゃくった。彼女の父である水境上人であった
ならこのような時どうしただろうか…。そればかりが頭の中をかけめぐってい
た。
 なんのために聖獣たちのドンである四神獣を呼び出すのか?
「この世を破壊するためさ」
 背後から毅彦の声がした。
「人間の欲の塊が、俺や咲羽のようなティーアという人間だか獣だかわからん
ような中途半端な存在を生み出したんだ。こんな世の中なんかなくなっちまえ
ばいいんだ。」
「さわ…?」
「ああ、俺の妹さ。遺伝子学的のな」
「あなたのように、ほかにも狩人がいるの?!」
 毅彦はニヤリと笑った。寒い部屋の中では不気味に恐ろしく見える。
「あいつは、俺なんかよりもさらに強い力を持ってるさ。おそらく、この世で
一番の……」
 そこまで言うと、言葉を濁した。
 静かな時が流れる。
 玄武復活まではまだ時間がかかりそうだ。


 麒麟が復活した首都エルデラーンは壊滅状態になっていた。
 国王アレリニオが崩れた宮殿の下敷きになって崩御というニュースがヒンメ
ル中をかけめぐっていた。
 指導力を突然失ってしまった王国は急速に衰えていく。それは歴史の定めな
のかもしれない。
 かろうじて難を逃れていた大臣たちが非常事態宣言を発令し、なんとか軍部
を統率していたが、カリスマ的存在であったオーカスもいない軍部は、暴走を
はじめたのである。


                              《続く》
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 あとがき
 ミネラルウォーターにはまりました。ミネラルウォーターは水道水と違って
味がしなくていいですね♪ ええ、ウチの水道水って有味有臭で茶色いんです。
やっと水道管の工事がはじまったのはいいんですが、家の目の前に工事の小屋
がたってしまって、監視されてるようでとっても嫌です;;

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2002/11/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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