メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』  2002/08/01


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月刊小説メールマガジン         2002年8月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.28
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 こんにちわ。篠原です。
 猛暑の日本列島ですが、いかがお過ごしでしょうか。
それにしても、暑い!の一言につきますね(^^;)
日中、日にさらされた車に乗るのはきっついです…。

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
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君が好き!のイベント参加日程は下記の通りです。
予定:夏コミ 8月11日(日)西1 へ 05a
みなさん、遊びに来て下さい〜♪
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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 【ちょっとおかしな二人の話《出会い編》】瀬乃美智子
●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒
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     【ちょっとおかしな二人の話《出会い編》】
                           by瀬乃美智子

「うわっ。」
「きゃあ!」

軽い衝撃と、それに続くゴトン、バタンという落下音。
青年の方は軽く身を後退させただけで済んだが、少女の方は思わず尻餅をつく。

「大丈夫ですか?」
黒髪に背広姿の青年は、慌てて少女に手を差し伸べる。
「あ、すみません! 私がちゃんと前見てなかったから…!!」


少女は――よく見れば二十歳はとっくに越しているようだったが、青年の差し
出した手にも気付かず、さっさと自力で立ち上がりズボンの埃をはたいている。

「私の方こそ、不注意で…。」
「いえ、いえ!私、本当にドジで。ごめんなさい。――わわっ、急がなきゃ!」

彼女は衝突の時取り落とした自分のアタッシュケースを手にとると、慌てて走
り出す。
「本当にごめんなさい! ありがとうございました!!」
金色の髪をなびかせながら、彼女は足早に立ち去る。

「いいえ、どういたしまして…。」
青年はちょっと呆気にとられた様子でその後姿を見送る。

「あの年頃の子がアタッシュケース?」
しかも、自分と同じビジネスタイプの黒張り。
とても今のような清純可憐なタイプの女性が持つには不釣合いな…。
それとも男女平等の今では、そんな事を思ってしまう自分は時代遅れなのだろ
うか?

(まぁ、いいか。久しぶりにイレギュラーな出来…事…、っ?)

青年は、取り落としていた自分の――――と思っていたアタッシュケースを拾
い上げると、微妙に眉をひそめた。
この持ち手の感触。

「―――俺のじゃない」
青年は、彼女のドジかげんに、思わず額に手を当てた。

《続く》




「…ありがとう?」

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第九章 聖戦


「朱雀の封印を解いて、朱雀と共にエルデに向かうならば、僕は喜んで生贄に
なるよ」
 封印を解くには『鍵』が必要である。
 生贄によって、聖獣の善悪が決ると言われていた。
 咲羽は言葉を失った。口が渇く。
 透弥はまっすぐ咲羽を見つめていた。そのまなざしは真剣である。
「僕は僕なりに少し聖獣のことを調べたさ。昔の古い文献を調べたり、神話を
読み返してみたり。聖獣の生贄になれる人間はこの世に何万人と存在する。い
や、あの封印を解こうとして、魔法陣に呑みこまれて行った人々もたくさん存
在するだろう。だが、生贄はあくまでも封印を解く鍵にすぎない。封印の扉を
開く者がいなければ、聖獣はこの世に復活しない。」

……封印の扉を開く者がいなければ、聖獣はこの世に復活しない。……

 その言葉が咲羽にはひっかかった。
「あれ? そのことは本当?」
「本当かどうかはわからん。僕が僕なりに調べて出した結論さ」
「え? もしそれが本当だったら、麒麟は…麒麟を復活させたのはイアンさま
ではないわ! イアンさまは麒麟の生贄になってしまった。扉を開けたのは一
体…」
「どうした? 咲羽?」
「北に、ヒンメルの北に誰も行った事が無いというところが存在するよね。ま
えに、聖獣の力を感じたことがあるの。でもそれは、麒麟のときのような、膨
大なエネルギーの放出ではなくて、聖獣が…毅彦が普段使うようなそんな力だ
ったけど。」
「毅彦の他に聖獣が存在していたということかい?」
「うーん。そんな感じかな。もともとこの世界に存在していた聖獣と蘇った聖
獣と復活を待っている聖獣。どれも違う波動を感じるの」
「んー。わかった。咲羽はもう少し情報が欲しいんだね」
「まぁそんなとこです。前にね、イアンさまから聞いたことがあって、自分で
封印した聖獣は生贄が必要ないらしいの。つまり、封印した人が生きているか
らってことなのよね」
「なるほどね。聖獣にもいろいろなタイプが存在するってことか。まだまだ調
べる必要がありそうだ」
「ごめんなさい。透弥先輩の気持ちはとってもありがたいけど、これ以上巻き
込みたくないから…」
「こら!」
 透弥は声を荒げた。
「巻き込まないじゃなくて、もう十分巻き込まれてる! さっきも言っただろ。
自分の身近な人間が世界を動かそうとしているのに、黙って見ていられるほど
僕は人間ができてないないんでね。手伝いたいんだよ。手伝わせてくれないか」
 咲羽はふぅっと小さなため息をついた。
「ありがとうございます。透弥先輩、毅彦は昔の毅彦ではありませんよ。それ
だけは、肝に銘じておいてくださいね。もしかしたら、悲しいけど、あの時の
思い出はすべて捨てることになるかもしれませんよ」
「あぁ。その覚悟はできているさ。輝かしい青春時代も、戦国の世では『今日
の友は明日の敵』ってね。歴史もそう語っている。」
 大親友も、戦いの続く限り、敵と味方に別れてしまうのであった。



                              《続く》
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 あとがき
本号を毎回楽しみにしていた方々、篠原の不手際で『君が御世に』が配信でき
なかったことをお詫びもうしあげます。
今後も一層がんばってまいりますので、大目にみてやってください(汗)

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2002/8/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142  loveyou
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