メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』2002/07/01  2002/07/01


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月刊小説メールマガジン         2001年7月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.27
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 こんにちわ。風ひきさんの篠原です。
 ここのとこ、関東地方では梅雨寒で、風が大流行。わたしも風をひいてしま
い、喉がとっても痛い(T^T)
 体調管理には十分気を付けましょう。

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
★随時、HPは更新しております♪
君が好き!のイベント参加日程は下記の通りです。
予定:夏コミ 8月11日(日)西1 へ 05a
みなさん、遊びに来て下さい〜♪
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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜育児編〜《最終回》』
●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒
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   『ちょっと不思議な夫婦の話 〜育児編〜《最終回》』
                      by 瀬乃美智子
 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけどちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。


「ただいま〜♪」
「おかえりなさい、課長!!」
 さやかの元気そうな姿に、13課の部員たちは、全員笑顔で彼女を迎える。
 以前と変わらぬスーツ姿は、スタイル一つ崩れていないし、その表情にはい
つもの余裕の笑み。

 本日から正式に13課課長として復帰なわけだが、その腕の中にはかわいい
ベイビーが二人ほど抱えられている。
「ふふふっ。計画通り、一度に済ませたから!」
 さやかの言うとおり、腕の中には男の子と女の子の双子の兄妹。
 いや、計画できるものじゃないだろと思うが、そこがこの夫婦らしいところ。

「じゃあ、後は君に任せて俺はベイビーの世話係だね」
 そう言い、旦那様は座っていた課長代理席から立ち上がり、さやかの手から
双子を受け取った。
 これから、旦那様は1年の育児休暇に入る予定だ。

「いや〜、課長が戻ってきてくれて嬉しいです!」
「あらあらそんなお世辞言っても、何も出ないわよ?」
「いえ、本気なんです!」
 さやかのからかい混じりの返事に、部下たち本気で首を振った。
 ベイビーの世話をし始めた旦那様に気付かれぬよう、そっとさやかの耳元で
囁く。
「…だって。武さん……課長代理、仕事のこととなるとすっごい厳しいんです
よ〜!」
「笑顔でものすごい指示が飛んで来るんです!!」
「あははは、そりゃそうよ。旦那様はその道の元スペシャリストだから。目指
すものは常に最上級♪」
「俺たちは本気で死にそうだったんですってば―――っ!」
13課課長さやか=ド=コンボイの帰還を、部下たちは本気で喜んだのであっ
た…。


 数日後。
旦那様はすっかり育児休暇に慣れ始め、今日も今日とて元気な双子ちゃんのお
世話にいそしんでいた。

「はい、今度はローズマリー♪」
 旦那様はミルクを飲み終わった坊やをベッドに横たえると、もう一人のお譲
ちゃんを抱き上げる。
ミルクを与えながら、ゆっくりと部屋の中を歩いて回る。
「――っ?」
 旦那様の視線が、ふと、窓の外に流れる。
 一瞬だけ流れた視線。――見られた当人たちにはその自覚すらないほど自然
な目の動き。

「…はい。ちょっとお昼寝してようね」
 旦那様はベイビーをベッドへ戻すと、にっこりと笑ってそのままベッドの底
へ手を回す。
ベッドの底板の裏には、非常時用の中距離銃。
外に一瞬見えたあれは…、おそらくさやか関係のいつもの殺し屋どもに違いな
い。
以前ならここで逃げる旦那様だったが、ベイビーがいる今となってはそれも難
しいかった。しかも二人…。

「というわけで、寝て下さい」
 にっこり笑って、窓辺の影に入り、銃口を外へ向ける旦那様。しかし、次の
瞬間、数発の弾丸が旦那様とベイビーがいる部屋めがけて発射される!
「…チッ!!」
 旦那様は軽い舌打ちと共に、隙を突いて打ち返す。
 たった2発。
 それは見事に狙撃手たちを打ち抜き、彼らは3秒後には混沌の中へとあった。
――旦那様が使ったのが、麻酔銃であった事に礼を言って欲しいものだ。

 旦那様はほっと息をつくと、情報部へ連絡し、後処理を頼む。
 そして、ゆっくりとベイビーたちの待つベッドへ…。
「よかったねぇ、お前たち」
 旦那様が笑顔と共に双子を抱き上げる。
何発もの弾丸が打ち込まれたはずなのに、双子にはかすり傷どころか、部屋の
中にはほとんど被害がなかった。

「さすが、改装したかいがあったよ。全然弾丸貫通しないね。壁全体に厚さ数
十センチの強化物質とは…、おじいちゃんおばあちゃん、本当にナイスな出産
祝いだよね!」
実家がお金持ちでよかったね〜!と、旦那様は笑って見せる。
どうやら、旦那様の実家のご両親が二人の仕事上から来る襲撃を心配して…
(心配なのは孫の方らしいが)、狙撃されても大丈夫なよう、家全体を改造し
てくれたようだ。
――でも嫌だな、そんな出産祝い。


 しかし、もっとびっくりするのが…。

「ただいま〜! なぁに?狙撃されたんですって?」
 丁度早めの帰宅をしたさやかが、外で後始末をする部下たちに目をやりなが
ら、笑っている。

「うん、まぁね。…でも双子が君に似てよかったよ」
「私に?」
「うん、だってこの子たち…。銃撃の騒音の中、泣き声一つたててないんだも
ん♪」

そう言って、抱き上げられた双子は本当に…というか、笑顔満面である。
いや、本気で笑顔なのだから驚かされる。

「あら、あなたに似たんじゃないの?」
 さやかは笑って言い返す。
 いや、君だろう?と、笑う旦那様。
 どっちもどっち、それより二人に似たという方が正しいと思うのだが、…ま
ぁ、この夫婦の子供なのだからうなずける。

どう転んでも末恐ろしそうな双子の兄妹。
不思議な夫婦の多分不思議な育児は、これからスタートなのである…。
                     《おわり》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第九章 聖戦

 セレナを目覚めさせる。
 先代の北殿大神官が崩御した際、彼女はセイヤの即位と共に眠りについた。
セイヤが死んだとき、彼女は目覚めるとこができる。
「我が妹よ…」
 ガラスの棺に納められている女神は、静かに眠っている。彼女は北殿の御神
体であった。
「ティーア…。人間であって人間ではない。かといって聖獣でもない、中途半
端な存在」
 輪廻転生。フォールラードゥングの教えの一つにそう呼ばれるものがある。
生まれ変わりと呼ばれるものだ。
「おまえの意識を持った、おまえの生まれ変わりがこの世に存在しているかも
しれない」
 セレナと同じ能力を持つ、毅彦の妹に思いを馳せるのであった。


 咲羽はがらーんとした自分の部屋に寝そべと、窓から見える隣のビルの星の
部屋を見つめた。
 父親に実家へ帰るように説得され、引越しの時を迎えていた。
「ねえ、あたしはもう礼門院家から逃れられないのかな」
 自分の心に問い掛けて見る。咲羽には隣の部屋にまだ星がいる気がしてなら
なかった。
「星は死んでいないよ」
 だって、自分の中に眠る力が溢れるように湧き出てくる。本来なら、星がい
なければ発動しないはずの力…。
 ピンポーン
「咲羽、ケーキ買って来たよ」
「透弥先輩!」
「引越し祝い?だ。咲羽の好きなチョコケーキだぞ」
「わざわざありがとうございます。」
 咲羽は慌てて起き上がり、正座をして頭を下げた。
「こらこら、たいした事じゃないんだから。どした? なにかあったん?」
「えへへへ」
 咲羽は、透弥の優しい表情にこらえていたものが溢れ出してきた。
「透弥先輩…。私はどおしたらいいんでしょう」
 泣きながら問いかけてみる。自分の中で何度も何度も問いかけたが、答えが
見つからないのだ。
「咲羽…」
「星がいなくなって、実家に戻れと言われて。でも、心は…エルデを向いてい
て…。聖獣、エルデの守護神麒麟が蘇ってしまったし…」
 エルデの城が聖獣によって崩壊したというニュースは、国交を断絶している
フラメにも入ってきていた。
 それよりも早く、聖獣が現れたことは、咲羽にはわかってた。
 イアンが聖獣を復活させたことも夢で見て知っていた。
 家に閉じ込めておきたい実家とすぐにでもエルデに飛んでいきたいという自
分の気持ちがぶつかり合って、咲羽を悩ませているのだ。
「なあ、咲羽。僕は君の力にはなれないよ。毅彦や星のような特殊な能力があ
るわけでもなければ、彼らを思う強い君の気持ちに嫉妬している僕だからね。
ただ…」
「ごめんなさい」
「いや、謝ることはないさ。僕にできることはただ一つ。君をフラメから出し
てあげられることだ。君が本気なら、フラメから出してあげるよ」
「透弥先輩?!」
「僕は、ただの人間だからね。聖獣たちが世界を荒らすならそれはそれでいい
と思っているさ。人間への罰だと思って受け入れるよ。でも、咲羽は違う。君
らは、聖獣を服従させる能力を持っている。『咲羽の助けになる』毅彦と約束
をした。あれでも一応親友だったからな。身近な友人たちが世界を動かしてい
ると思うとワクワクしたよ。朱雀の封印を解いて、朱雀と共にエルデに向かう
ならば、僕は喜んで生贄になるよ」
 封印を解くには『鍵』が必要である。
 生贄によって、聖獣の善悪が決ると言われていた。


                              《続く》
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 あとがき
  最近、ふと思うこと。それはネチケット。
バーチャル世界に住みついて、そこで生活をするゲームが流行ってますが、ユー
ザーの自己責任において、「なにをやっても自由」っていう世界はどお思いま
すか?(トラブル例として:泥棒、横取りなどなど)
 ご意見お待ちしております。

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2002/7/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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