|
=================================== 月刊小説メールマガジン 2001年6月1日 発行 『君が好き!』 増刊号vol.26 =================================== いよいよ、夏! 今年も暑いであろう(冷夏という噂も)夏がやってきましたね。 そして、夏コミの追い込みの時期でもあります。今回もまた参加決定しました。 うれしいやら、悲しいやら(?)ですが、精一杯がんばります! HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/ ★随時、HPは更新しております♪ 君が好き!のイベント参加日程は下記の通りです。 予定:夏コミ 8月11日(日)西1 へ 05a みなさん、遊びに来て下さい〜♪ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 増刊号 今月のラインナップ ●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜畑違い編〜』 ●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜畑違い編〜』 by 瀬乃美智子 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、 さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、 さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけどちょっと不思 議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。 「課長どうしたんだ?」 「さあ?最近元気ないんだよなぁ…。」 「元気と言えば主任だけど、なんかさぁ…、前にも増してすっごい勢いで仕事 しまくってないか?」 13課の部員たちは、自分たちの上司二人を見て溜め息をついた。 この一ヶ月ほど、とにかく二人の様子がおかしいのである。 課長は元気なく日がな一日ぼーっとしてるし、反対に主任は以前にも増してバ リバリと仕事をこなしている。 課長は…、好きではないとは言え、デスクワークもいつもはそれなりに責任感 を持ってこなしてたのに…。 主任は主任で、怒るわけでもなく、それどころかどんどん横から課長の仕事を 取っていってこなしてしまうし、課長がさぼってても何を言うわけでもない。 「こんにちは〜っ。」 「旦那様!」 部室の入口を開け、聞きなれた挨拶をする人物に真っ先に反応したのはさや かだった。 嬉しそうに、入口から顔を覗かせる旦那様の元に駆けていく。 「どうなさったの?」 「うん、今日は新人さんを選ぶための面接に来たんだ。さすがに情報部の採用 となると、面接会場は本部を使わなきゃいけないらしくて…。しばらく俺の代 わりをしてもらう人だから、いい人に来てもらいたいしね。今日はこっちで1 日面接官だよ」 旦那様の言葉に、新人採用ですか?と、部下たちは小首をかしげた。 このところ、情報部も経費節減で事務要員にはなかなか増員がないと聞いてい るのに…。 「ああ、それは…ちょっと家庭の事情でね。話してないのか、さやか?」 旦那様は、おや?という表情をする。 それまで、旦那様に抱きついてきゃあきゃあはしゃいでいたさやかだが、言わ れてからはっと、あ…、そう言えば主任以外には言ってなかったわと、あけっ とらかんと答えた。 「実は…。」 と、旦那様がちょっと照れた様子で爆弾宣言をした。 「コンボイ家に、とうとうベイビー誕生です!」 『ええ――――――っ!!?????』 突然の爆弾発言に、部員一同、絶叫した! いや、そう言われると全てつじつまが合うというか…。 課長がぼうっとしまくっているのも妊婦さん独特の体調の変化だったのかと納 得できるし。主任のあの行動も…、課長が出産する間の代わりをつとめるため の準備と思えば……っ。 「…って、課長、まさかこのまま退職しちゃったりしませんよね!?」 慌てて部下たちはさやかを問いただす。 「しないわよぉ、ちゃんと帰って来るけど…。」 「来るけど?」 つづきのことばを待ち、部下たちは緊張する。 しかし、続くさやかの言葉に、部下たちはしばし考え込んだ。 「…他に、何か言うことはないの?」 えっと…。 なんだろう…? 本気で考え込んでしまった部下たちに、くすりとさやかは微笑んだ。 「お祝いの言葉はないのかしら?」 「――っあ!おめでとうございます!課長!武さん!!」 言われて、どっと部員たちの間に笑顔が広がった。 あまりに急な…、そして、課長と言う自分たちに欠かせない人物が少しの間で もいなくなるという焦りに、全員、うっかり祝いの言葉を忘れてしまっていた のだった。 「ありがとう」 さやかも満足そうにうなずく。 皆、口々にお祝いの言葉を言い、そして体調悪いみたいですけど大丈夫です か?と心配そうにする。 「ああ、私が元気がないのは体調のせいじゃないわよ」 さやかはあはははと、笑って答えた。 「だってぇ…。妊娠わかってから、旦那様ったら養成所の方を休むための準備 で忙しくって…。私のこと全然相手にしてくれないんだもの!」 『そっちかよっ!!』 部員全員で思わず突っ込む。 それか!それが元気がなかった原因か!! 泣きたくなってくる事実に、全員肩の力が抜ける。 ああ、でも養成所休むってことは、一緒に育児休暇とってあげるんだな〜、と 部下たちは武さんらしいなぁと、納得した。 「じゃ、そういうことで私がいない間よろしくね、皆♪」 『はいっ!』 さやかのその言葉に、全員まかせとけという表情でうなずいたのであった…。 3ヵ月後。 やや早めにさやかは育児休暇へと突入した。 出産ぎりぎりまでがんばると思っていたが、意外に早いかったな…と、部下た ちはなんだか気が抜けていた。 ああ、今日から課長のいない13課が――――…。 「おい、君たち。課長がいない間の臨時課長代理がお月になったぞ?」 主任の言葉に、全員、え?という表情をする。 課長のいない間って、主任が代わりを勤めるんじゃなかったの? しかし、部下たちをもっと驚愕させたのは、課長代理の正体であった! 「こんにちは、さやかがいない間課長をやらせていただきます、武=ド=コン ボイです。よろしくお願いいたします!」 『旦那様――――っ!!』 その為の休みだったんですか! ていうか、何で妻の変わりに夫が! しかも、滅茶苦茶畑違いです! ハチャメチャな事実に、部下全員、呆然と立ち尽くしたのであった…。 《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 『聖獣戦記』 篠原美姫緒 第九章 聖戦 少女は、制する神官たちを吹き飛ばしながら、南殿に隠されている魔法陣へ と歩みを進めて行った。 北殿にいたセイヤは不気味な気配を感じた。 「この感覚は一体…」 自室で読書をしていたが、大切にしていた本を取り落とし、そして見えない が南殿のある方角の窓をめいいっぱい開け放った。 標高が高いメール山ではあったが、このフォールラードゥング寺院のあると ころは、一年中温暖な気候で、花が咲き、鳥が飛び、蝶が舞い、動物たちもい た。 そんないつもと変わらぬ景色を見つめながら、セイヤは視線を透き通る空に 移した。 「ヴィシュヌが…覚醒したのか…。ファオが死んだ?」 彼は空気の流れで世の中を感じとることができる。 「ヴィシュヌ…。悪魔の心に目覚めたのか」 純粋な少女の魂は、その母親代わりであったファオを失うことにより、悪魔 の化身となってしまったようである。 「南殿の封印を? まさか!」 空を見つめながら、呟いていたセイヤではあるが、彼には空に彼女の映像が はっきりと映っているのであろう。奥深くへと歩んでゆく姿が見えていたので あった。 「ミツ! ミツ!」 信頼できる側近を呼ぶ。 「は! ここに!」 その側近は、どこに隠れていたのか、呼ばれると同時にセイヤの前に姿を現 した。北殿が誇る忍者部隊の総頭取であった。毅彦が消えたあとに後を継いだ 人物である。 「ミツ、すまぬが…」 「お嬢様(ヴィシュヌ)のところへ行けばよろしいんですね?」 「いや、行ってもなにもできないだろう。それより、ヴィシュヌを止めること ができるのは、この世でたった一人いる。」 「毅彦さまですか? あの方なら今北の大地にいるのでは…」 「毅彦ではないのだ…。」 「は? では、まさかセレナさま?」 「そうだ、セレナ…だ。」 「!!!! まさか!」 「こんなことを頼んで申し訳ないのだが、私の首を切って…くれ…ないか…」 「セイヤさま、正気ですか?! いくらなんでもお断りします!」 「このままでは、世界は破滅する。ヴィシュヌの底知れぬ力に今対抗できるの は、遺伝子元であるセレナだけであろう。セレナが目覚めるときは私が死ぬ時 なのだ…」 「し、しかし!」 「私は弱い人間だ。一人で自殺することすらできぬ。頼む。セレナを蘇らせた い!」 「い、嫌です! セイヤさまもセレナさまと同じ遺伝子を持っているではあり ませんか! ヴィシュヌさまをお止めできないのですか? 毅彦さまでも、で きませんか?」 「………。同性同士のほうがより強いのだよ…」 「!! ああああ! そういえば」 「どうかしたのか?」 「毅彦さまには、妹がいます! しかも血のつながった妹だそうです!」 「血が繋がった? 妹…? 初耳だ」 「はい、毅彦さまも彼女を探し、フラメまで出向いていきました。なんでも、 聖獣を封印した封印士だとか、言っていましたが…」 「聖獣を封印?! そんなばかな!」 「事実は良く知りませんが、毅彦さまの取り巻き達の話では、そういうことに なっておりますが」 「聖獣を封印できる封印士が、存在していたのか! 即刻、その者を連れて参 れ!」 「御意!」 「フラメか。やっかいだな。くれぐれも隠密に。」 ミツは軽くうなずくと、その場から一瞬にして消えた。 《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ あとがき なんとなく風邪気味でしんどいです。 ここんとこの気温の変化に体がついてゆきませぬ。かといって、なぜかまだ、 ストーブが出ている我が家って一体…。 扇風機がほしい〜 君が好き!はリンクフリーです。 小説のご意見ご感想をお寄せください♪ =================================== 月刊小説「君が好き!」メールマガジン 2001/6/1 増刊号 発行責任者 :篠原美姫緒 kimigasuki@1-emishop.com Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/ 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142 loveyou 君が好き!メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。 =================================== |