月刊小説メールマガジン『君が好き！』2002/4/15 2002/04/15

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タイトル：月刊小説メールマガジン『君が好き！』2002/4/15 2002/04/15

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓月刊小説メールマガジン　　　　　　　　　2002年4月15日　発行『君が好き！』　　vol.34 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓こんにちは皆さま！　いよいよドラゴンラヴァも最終章に突入です！これからどんな戦いになっていくのか…、それは筆者のみぞ知る(笑) 皆様は、どんなエンディングを想像してらっしゃいますか？篠原が綴る「君が御世に」もお見逃しなく！　 (瀬乃　美智子　拝) ====================================================================== 今月の目次 ▼君が御世に・5　　　　篠原美姫緒 ▼ドラゴンラヴァ・26　　瀬乃美智子 ▼あとがき ====================================================================== 　　　　　　　　　　　　　　君が御世に　５　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　篠原美姫緒　安元二年七月八日、高倉天皇の生母である建春門院が崩御した。彼女は、高倉天皇の皇后である平徳子の母と姉妹であった。それゆえに、後白河法皇と平清盛を強く結び付けている存在でもあった。彼女の死は、天皇家にとっても、平家にとっても痛手となった。　翌三年七月七日、内裏で女院のための御八講が行われた。法華八講は法華経の法会で、法華八巻を四日に分ち、毎日朝夕ニ座を設けて講了する。その中日は五巻の日と称し、特別の供養を行うのが通例であった。　その模様は、『玉葉』同日の条にも詳しく書かれてある。　高倉天皇が亡き母のために、経を書いてから五日、女院たちや、后の宮々、三條女御（三條の局琮子、後白河院の后宮）、白河殿（清盛の娘盛子、高倉天皇の准母）などが、みな御捧物を霊前にたてまつった。建春門院に縁のある殿上人（四五位以上の公家）などが、つつましやかに、御捧物をもって霊前に捧げている。　笙子は、その様子を目の当たりにし、不謹慎ながらも「まるで源氏物語の世界に迷い込んだよう」　と、心弾ませるのであった。　やはり、中でも目を奪われたのが、平安の美男子維盛である。　重衡とともに、一枝ずつ、金銀の打ち枝にご供養の品々を結びつけたものを捧げ持って進まれるその姿は、絵物語から抜け出たように美しい。　そこに、女院の美しい姿が合わさって　九重にみのり（御法）の花の匂ふけふや消えにし露もひかりそふらむ「そういえば、花を持ってきてくださったのは…」　去年の春のことであった。なんだかんだで、笙子ももう二十歳。　近衛殿と申すのは、白河殿盛子の御継子、藤原基通で、このとき二位中将であった。冷泉隆房、重衡、維盛、資盛の兄弟などの平家貴公子たちに、白河殿の女房たちを誘って、都の花の名所などに花見に出かけた。　その翌日に、見事な桜の一枝が、行かなかった中宮のもとへ届けられた。「まぁきれいな桜の枝だこと」　徳子は、桜の花を見ながらにこやかに微笑んだ。「維盛が気を利かせて持ってきてくれたんだわ。せっかくだから、ご挨拶をしなければね」　徳子はいたずらっぽく、笙子をみた。「わ、わたくしがお返事を出すのですか？」「ええ！　笙子が出せば来年はここの女房たちも誘われるわ」「まぁ！」「笙子は、重衡殿や維盛のお気に入りですから。今回だって、白河殿に遠慮して、こちらを誘わなかったのですよ」「では、右京さまに御礼のご挨拶を書いていただければ、来年はかならず…」「ええもちろんですわｗ」「中宮さまも式部さまもやめてくださいな！」「いいえ、笙子。あなたは自分を謙遜しすぎよ。ささ、うらめしそうに歌を読むのですよ」　と、中宮に言われ、笙子は歌を詠んだ。　さそはれぬ憂いさもわすれてひと枝の花にぞめづる雲のうへ人「まぁ!　笙子らしいというかなんというか」「…………。」「ふふふふ。これの返事が楽しみね」「こんなんで返事くださるのでしょうか…」　すぐ使いの者に、歌を渡す。　しばらくして、隆房の少将から返事が来た。　返し　雲のうへに色そへよとて一枝を折りつる花のかひもあるかな「まぁ！　嬉しいですわ」「隆房どのはお優しいから。」　中宮と笙子は返歌をみながら、やさしく微笑んだ。なごやかに、「どういたしまして」という、隆房の笑顔が目に浮かぶようである。　そんな中、今度は、資盛から返歌が来た。「あら、まぁ。資盛からなんてめずらしい。」　歌が苦手という維盛に代わって詠んだのかもしれない。　中宮は嬉しそうに、聞き入った。　もろともに尋ねてもみよ一枝の花に心のげにもうつらば「あららららららら」　中宮は驚いた様子で、笑った。「この返歌は間違いなく、笙子宛てだわ」　中宮は、いたずらっぽく笙子をみた。「へ？」（あ、あたしまたからかわれてるのかしら？？？）「ねえ、笙子。あなたは、維盛と資盛と重衡殿と、誰が好き？？」「！！！！！」「維盛、重衡どのの笙子争奪戦に資盛参戦っと…」「中宮さま、冗談はやめてください！！！」　いままで気にもとめていなかった、資盛からの歌に、ちょっぴり親しみを持つ笙子であった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《続く》 ====================================================================== 　　　　　　　　　　　　ドラゴン　ラヴァ・26 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by瀬乃美智子　　　　　　　　　　　　最終章「降臨する影」「竜彦、何をするつもりだ？」　瑠璃葉に、竜彦が呼んでいますと告げられた火竜と浅月は、珍しく純白の着物に着替えている竜彦を見て不思議そうに訪ねる。竜彦の場合、浅月と違って白い着物は、…例えば占いをする時のような、特別な時にしか着ない。何をするつもりなのだろうと不思議に思っている二人に向かって、竜彦はさして表情も変えず告げた。「出迎えるんだ」「出迎える？」「そう…、『奴ら』を。」「っ！？」　火竜たちが、竜彦の言葉の意味にはっと気付く。「来るのか、奴らが！！」　火竜の問いに、竜彦はこくりとうなずく。　魔族たちが来る！　おそらくそれは竜彦独特の『感』…。　だが、火竜たちにとって、それほど確かなものはない。「浅月！　海里の部屋に行け！」　あそこは、結界がはられ、魔族の目は届かぬ聖地。「分かりました。…気をつけて、あなた」　浅月は気丈にうなずきながらも、最後に火竜へと少しだけ不安そうな表情を見せる。　そんな彼女を見て、火竜がにやりと笑みを浮かべる。「大丈夫だ浅月。…お前も元太刀見家当主、当代随一の占い師だ。それなら分　かるはず。これからの前途は、お前にはそんなに不安なものに映るのか？」　その言葉に、ふっと浅月の表情が緩む。「いいえ。でも…、私にも分かりません。何か巨大な影が邪魔をして、未来が　見通せないのです」　未来視なら何度も試みた。　しかし、その全てが巨大な何かの影によってさえぎられ、失敗してしまった　――…。迫り来る魔族の脅威とあいまって、その黒き巨大な影は大きくとても威圧する存在であるが…、その本質は浅月であっても掴みきれない。確かにあるはずの脅威が、どうしても掴みきれぬもどかしさ…。浅月にとって、初めての体験であった。「…でもきっとうまく行くわ。それは、私も竜彦と同じ意見」　にっこり笑って、浅月は今度こそ火竜に別れを告げる。「気をつけてな。決して、部屋から出るなよ。何があっても、俺たちのことは　考えず、まず自分の身を守る事を考えろ。力弱き人間よ」「ええ、分かっています。…力を所有する我が竜よ。ご武運を…。」　二人の手が、名残惜しそうに離れる。　本当にうまく行けばよいのだが…。　ひとつ間違えば、永遠の別れ。　それを同じように感じている瑠璃葉は、思わず竜彦の着物の袖を掴んで目を　伏せる。「大丈夫だ浅月」　何をおびえている？というように、不思議そうな表情で浅月の顔を覗き込む。「全てはうまくいく」　竜彦の顔に確信に近い何かが浮かぶ。「『吉凶の使者』…、海里が『それ』を運んできてくれたのだから、もう大丈　夫だよ」　そう言い、竜彦は満足そうに微笑んだのであった。「――――…っ！！　出たぞっ！」　太刀見家の竜の池の間。　瑠璃葉の住んでいた…、遠く水底は魔界へと通ずる穴があるそこから、魔族たちは次々と人間界へと水面から這い上がってきた。たどり着けたのは十数名の兵士たちと、例の二人の魔族。「…うん？」　すぶ濡れになりながら、魔族たちはこの部屋の中にいるのが自分たちだけでないのに、気付く。相手は、隠れるわけでもなく、臆するわけでもなく。自分たちと多少間合いを取った位置に、堂々とたたずんでいた。「お前たちが魔族というものか。…意外と普通だな」　そう言った人間は、ぐるりと視線だけで魔族たちの姿をで見回す。金色の髪に純白の着物姿。全く恐怖を感じている様子もないその人間の青年に、下級の魔族たちはざわめきだし、――例の二人組みは意外にも興味を示した。『汝の名は何ぞ。』『その正体を申せ』魔族二人が問う。それに、竜彦は―――。「太刀見竜彦。…お前たちを待っていたぞ」オトリとして、その大役に恥じぬ態度で魔族たちに対峙するのであった―――…。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《続く》 ====================================================================== あとがきここでちょっと予告です。増刊号でお送りしております「ちょっと不思議な夫婦の話」ですが、皆様の熱いご愛顧をいただきながらもあと残り数回で最終回を迎える予定となりました。今までかわいがっていただきありがとうございました！ …なお、新作は……、やはりコメディータッチのお話なので、気に入っていただけるものと思います。…というか、…ウフフ、見てのお楽しみです♪(にやり) 君が好きはリンクフリーです。ご意見ご感想をお待ちしております♪ キリ番をＧＥＴされた方は、掲示板にご報告お願いいたします。〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓　月刊小説「君が好き！」メールマガジン　　2002/4/15 34号　発行責任者　：篠原美姫緒　kimigasuki@1-emishop.com 　Ｗｅｂページ：http://kimigasuki.hoops.ne.jp/ 　君が好き！メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。　発行システム：『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』　マガジンＩＤ：0000025584　m00012567　ms00000142　　loveyou 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

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