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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 月刊小説メールマガジン 2001年12月15日 発行 『君が好き!』 vol.27 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 こんにちわ! 瀬乃 美智子です♪ 篠原は、今回より新連載!!今度の舞台は平安時代です! 冬コミ新刊情報!《日曜日 西地区“つ”ブロック08b》 篠原美姫緒:「Tierkreis Krieger 一巻 \600」 五つの異民族の国からなる「ヒンメル」という一大帝国がある。 その帝国には、「聖獣」を呼び出すことのできる「召喚士」が 存在した。数少ない召喚士をめぐり、五つの国は対立していた ……。ヒンメル帝国の長きに渡る歴史が、今、動き出す。 瀬乃美智子:「ちょっとかわった魔族の話《??編(笑)》」 夏に発行した《出会い編》の続編です♪ とはいいつつ、一話簡潔なのでこれのみでも大丈夫! ちょっと変わった魔族と普通の少年のショートショートストー リー…。 \50〜100ぐらい(笑) HPにて切り番ゲットした方は、ご報告ください♪ ====================================================================== 今月の目次 ▼君が御世に・1 篠原美姫緒《新連載!》 ▼ドラゴンラヴァ・22 瀬乃美智子 ▼あとがき ====================================================================== 『君が御世に』 篠原美姫緒 「この一門にあらざらむものは人非人」そう揚言した平氏。 はかなく西海の藻屑となってしまった。 源平合戦では、とかく悪役に仕立て上げられている平氏ではあるが、実際は 源氏よりも平家に正当性があることは、歴史が証明している。なにせ、西海の 海に沈んだはずの三種の神器は、いまだ健在なのだから。 源平合戦のサイドストーリー。 よるべなく世の荒波にもまれながら帰らぬ人によせるその嘆きの切なさを感 じとることのできる人は、建礼門院右京大夫の切々の記録をひもといて一掬(ひ ときく)の涙をそそがれるがよい(本位田重美) 保元元年(1156)に鳥羽上皇が没すると、政治情勢は大いに緊迫した。 ことの発端は、鳥羽上皇と崇徳天皇の不和にあった。鳥羽上皇の中宮となっ た待賢門院璋子は、白河上皇の幼女ということになっており、鳥羽上皇との間 に顕仁親王を生んだ。ところが、当時からこの顕仁の父親は白河上皇本人であ るとの噂があり、鳥羽と白河との間には微妙な関係が存在していた。 やがて顕仁親王は即位し、崇徳天皇になると後ろ盾となっていた白河上皇が 没した。次第に崇徳天皇と鳥羽上皇との間は不和になり、上皇の意を受けて崇 徳は譲位し、鳥羽と美福門院得子との間に出生した近衛天皇が即位した。 おもしろくない崇徳は、自分の皇子である重仁親王を即位させるべく画策し ていたが、近衛天皇が没して皇位を継いだのは、鳥羽上皇が崇徳の意図をくじ くべく、関白藤原忠道と結んで璋子を母とする雅仁親王であった。 この雅仁親王こそ、世に悪名高き後白河天皇である。 後白河対崇徳の対立は、天皇家だけでなく、摂関家内の対立もからみあって、 ついには武力衝突までするまでに至った。これが保元の乱である。 乱の結果、後白河天皇方が勝利を収め、崇徳は讃岐国に配流された。 後白河院政期に最も重用された人物が、藤原通憲(小納言入道信西)であっ た。彼の妻が後白河の乳母であった関係から、政治の運営の中心的存在となっ た。彼は、保元の乱における恩賞について、代々摂関家と関係が深かった源氏 よりも平氏を厚遇した。 ここに保元の乱に参加していた、源義朝(頼朝の父)と平清盛の命運は分か れた。 院近臣であり反信西の立場にあった藤原信頼と源義朝は、信西が厚遇して院 政の軍事的基盤として期待をかけていた平清盛が熊野詣に出かけたおりを狙っ て挙兵したのである。 これが、いわゆる平治の乱である。 信西は殺害されたが、急ぎ帰京した清盛の軍勢によって、信頼は斬られ義朝 も尾張国で謀殺された。 勝利者平清盛は、やがて仁安二年(1167)には従一位太政大臣に昇進し、こ こに平氏政権が生まれたのであった。 承安三年頃、藤原笙子は、高倉天皇の妻である中宮徳子の御所へ宮仕えする ことになった。能書の誉れ高い藤原伊行を父とし、稀代の筝の名手であった夕 霧を母として生まれた笙子は、両親の薫陶を受けて筝に和歌に書道に、類まれ なる才媛であった。 当時、父の伊行は病気ですでに引退していたが、笙子の母夕霧の前の夫であ る藤原俊成の養女分として出仕した。笙子の女房名は「建礼門院右京大夫」。 建礼門院――今を時めく平清盛の娘、徳子のことであった。 「こら! きょろきょろしない!」 「は、はい。京極さま」 「くすっ、笙子。ここでは右京大夫だったわね。いい? これから中宮さまに まみえるのよ。どうどうとしてらっしゃいな。でないと、圧倒されるわよ」 「はぁ」 広々とした部屋に案内された笙子は、落ち着くことはできなかった。それも そうだろう。なにせ、中宮に会うのだから。 後白河院京極は、藤原俊成を父もち、笙子の異父兄尊円とは姉弟になる。彼 女は、後白河院の法住寺殿(後白河法皇の御所)に仕え、御幸のときは唯一の 祗候として御車の後ろに乗ることをが許されているほどの方で、院中女房第一 位といわれるような人物であった。 そっと襖があくと、花の香とともに笙子と同い年ぐらいの女(むすめ)が入っ て来た。 「お顔をあげてくださいな」 打ち伏している笙子に声をかけた。 「徳子さま、こちらが笙子…右京大夫でございます」 「お噂は京極殿から聞いておりますわ。私にいろいろと教えてくださいね。右 京大夫」 「身に余るお言葉です。私こそいろいろとよろしくお願いいたします。」 中宮の住まいである藤壺の御殿には、徳子の兄や甥である平家の公達たちも よく遊びにきた。 中宮に新しい女房が入って、しかもその女は才女である。という話は、瞬く 間に広がった。 「夢だわ。夢を見ているんだわ。」 笙子は、憧れの平家公達(ジャニーズ)を目の前に、緊張を通り越して、夢 心地であった。知盛に重衡に惟盛に隆房に…。 「どれもこれもいい男…もとい、あんなに恋焦がれていた御人たちが、いまこ うして同じ空気を吸って、一緒に歌なんか詠んじゃったりしてるし。私ここに いていいのだろうか…。」 などと、頭の中で思っていると、話を振られたりする。 「右京どのの好みの男(おのこ)はこの中にいるかい?」 単刀直入に重衡は聞いた。 「あほう! 重衡!」 知盛にでこぴんをくらって、重衡は額をさする。 「いてぇなぁ、やっぱ惟盛かぁ。平家光源氏の君だもんなぁ」 「いえいえ、叔父上にはかないませんよ」 平重衡は、清盛の息子であるが、惟盛は、清盛の長子重盛の子供である。 重衡十七歳・惟盛十六歳、笙子十六歳・徳子十六歳。徳子の夫、つまり高倉 天皇は、徳子より四歳年下の十二歳であった。 「笙子、ごめんなさいね。この人たちいつもこんな感じなのよ。」 中宮さまに言われては、「いいえ、御気になさらずに」という、ありきたり な返事しかできない。 御所の雅なる世界に飛び込んだ、笙子の宮中暮らしの始まりであった。 ====================================================================== ドラゴン ラヴァ・22 by瀬乃美智子 竜彦の部屋に竜彦の部屋に終結した4人は、早速作戦会議を開始しようとす る…。 「あら?海里は?」 話を始める前に、浅月は海里がまだ来ていない事に気づく。 使用人たちはまだことの次第を知らされていないので、以前通り海里たちへ の見張りは厳重なはず。しかし、こうして火竜が来れているところを見ても、 抜け出せずにいるわけではないはずなのだが…。 「…どうかしたの?」 「いや、ちょっと卵の面倒を見てから来るって言ってたからな、すぐ来ると思 うが。…これから色々と危険な目にもあうだろうが、あの卵だけは守ってやら なくてはな」 「ええ、そうね」 海里の事情を知る四人は、それぞれうなずく。 竜族にとって、一番無防備なのは卵の状態だ。 しかもあの卵は死んだ母親の胎内から取り出されたもの、普通の卵とは違う のだ。 海里の話から察するに、時期からすればもうとっくの昔に生まれていなくて はおかしいのだが…。やはり、うまく命をやどせなかったのであろうか。 「あの卵…。確かに見た目は弱々しいけど、時折、強い気を感じるわ。なんと か生まれてくれるとおもんだけど…。」 「危ないのか?」 浅月の言葉を聞き、竜彦が火竜に問う。 「いや、そうとも限らないな。竜族の中には、卵の中で千年過ごす『千年ドラ ゴン』と言われる強力な種族もいたぐらいだから、必ずしも時期が遅いのが悪 いとも言えないだろう」 「ふぅん…。」 「しかし…。」 火竜が言葉を続けようとした次の瞬間、その背後の襖に人の気配が突然現れ る。 一瞬、全員息を殺す。 しかし、襖を開けて入ってきたのは…。 「…何だ、海里か!」 「あっ、ごめん。遅くなっちゃって…!」 中に入ってきたのが海里で、全員ほっと息をつく。 浅月と瑠璃葉が瓜二つとはいえ、二人そろった場を他の使用人たちに見られ てはまずいだろう。 「じゃ、作戦会議開始ね!」 浅月が、にっこりと笑みを浮かべた…。 「一番いいのは、俺と瑠璃葉。どちらかがオトリになることだ」 火竜が先陣を切って案を出す。 「でもそれは危険ではない?」 「いや、あっちは既に結界が張られていることで、こちらに何者か力が強い者 がいることは察知しているはず。それなら一人がオトリになり、奴らがそちら に気を引かれている間に、もう一人が奇襲できる」 しかし、その案に瑠璃葉は首を横に振った。 「でも、それでは敵に竜族の生き残りがいることがばれてしまうわ。一網打尽 にできればよいけれど、 一人でも逃がしたら…。竜族を狙っているのは海里 の主だけではないのよ? 私たちの存在を知った魔界の連中は、今度はそれぞ れ大量に狩人たちを送り込んでくるわ」 「………っ。」 瑠璃葉の反論に、火竜も表情を曇らせる。 確かに、彼女の意見は正しい。 しかし、だとしたらどうすればよいのか…。 姿を見せなければ倒せぬし、倒しそこねれば後はない。どうしたものか…。 考えあぐねる火竜たちを見て、ふと、竜彦が言葉を漏らした。 「お前たちが言ってることはよく分からない」 「え?」 「まずお前たちが戦う相手は誰なんだ? 海里の主と言うだけで、名前も知ら ない。…そいつがどんな やつかも、どんな力がある奴かも全然分からない。 それでお前たち、よく作戦会議なんて開けるな」 きっぱりと言い放つ竜彦。…なるほど、言われてみればもっともな話だ。 では、それを知る唯一の人物は…。 「海里、お前の主って言うのは…。」 それを知る唯一の人物に尋ねようとして、四人は少し後方に座していた海里 へと振り返る。 しかし、当の海里は話を聞いていたのかいないのか、ぼうっと中空へと視線 を漂わせていた。その腕の中には、卵が収められた鞄が、しっかりと抱きしめ られている。 「海里…?」 よく見れば、顔色も顔ざめていて目もうつろだ。 話し合いどころではない様子で、その額には冷や汗が浮かんでいた。 「海里!どうかしたのか??」 火竜に大声で呼ばれ、やっと我に帰って顔を上げる海里。 一体どうしたんだという問いに、海里は振るえながらもやっとの思いで答え た――。 「……卵の様子が…おかしいんだ…。」 「なに??」 「昨日までまだほんのり暖かかったのに…。お、温度が下がってきてるし…、 殻も、変なんだよ!」 何が悪かったんだ! この数日、抱いてやれなかったのがいけなかったんだ ろうか? 鞄にしまいっぱなしだったのか悪かったのか!? せきを切ったようにパニクリだした海里を、誰も取れることが出来ない。 「どうしよう…。」 卵の納まる鞄を抱きしめる腕に、力が入る。 「卵、死んじゃったらどうしよう!」 海里の悲鳴にも似た言葉が、四人の体を凍りつかせたのであった……。 《続く》 ====================================================================== あとがき 次回、月刊小説メールマガジン「君が好き!」増刊号は、年始休業のためお休 みとなります。 年明け最初の配信は、1月15日の本号となります。 皆様、よいお年を! …おっと、その前に仕事納め。 君が好き!のコミケ参加日程は下記の通りです。 日曜日 西地区 “つ”ブロック 08b みなさん、遊びに来て下さいませ〜♪ 君が好きはリンクフリーです。ご意見ご感想をお待ちしております♪ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 月刊小説「君が好き!」メールマガジン 2001/8/15 19号 発行責任者 :篠原美姫緒 kimigasuki@1-emishop.com Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/ 君が好き!メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142 loveyou 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 |