メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/11/1 増刊号  2001/11/01


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月刊小説メールマガジン         2001年11月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.20
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 こんにちわ♪ ハイテンション中の篠原です……。
 最近、寝ているのに寝ていない状態で(昼寝な日々)、原稿と格闘しており
ます。それにしても、すっかり秋ですね。ニュースで地方から冬の便りが届く
と、うきうきします。だって、もうすぐ忘年会シーズン……←気が早い
 世の中、菌やテロや戦争で大騒ぎですが、一体地球はどうなっちゃうんでしょ
うねぇ。

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
★随時、HPは更新しております♪

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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜修羅場編《前編》〜』
●『聖獣戦記』第8章 篠原美姫緒
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    『ちょっと不思議な夫婦の話 〜修羅場編《前編》〜』
                       by 瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけどちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。

「コンボイ。すまないが今回護衛の人手が足りなくてな。助っ人に出てくれな
いか?」
「は…っ?」
「お前も、デスクワークばっかりじゃあ体がなまっちまうだろう。…なに、さ
る大財閥が開くパーティーに情報部(うち)の要人が出席するんだ。形式上だけ
の簡単な護衛の仕事だから、後ろにくっ付いて歩いているだけでいい」
「はぁ…。」
 上官を前にして、旦那様は少々困ったような表情を浮かべた。
 仕事の途中で急に本部まで呼び出され、なんとなく悪い予感がしていたのが
現実になってしまったようだった。
 旦那様の仕事は情報部訓練生養成所のデータをまとめるという…、いわゆる
典型的なデスクワークである。普段ならこんな護衛の仕事など旦那様の下へ入っ
てくるはずはないのだが…。
「お前も普段、自由にやらせてもらってるんだ。たまには俺たちの役に立って
くれてもいいだろう」
「………っ。」
(困ったなぁ…、この人にも)
 旦那様は心の中で大きな溜め息をつく。
 旦那様の目の前でデスクに足を投げ出し椅子にどっかりと体を預けているそ
の男は、さやかの知り合いであった。
 さやかと一緒で二十代にして本部の一部門を任され、階級から言えばもちろ
ん旦那様の上官にあたる。っと言っても、本部勤めではない旦那様にとっては、
直属どころかまったく系統も違う人物なので、本来ならば彼に命令されるいわ
れもないのだが…。この上官、旦那様の事を気に入ってるらしく、なぜかこと
あるごとに旦那様を呼び出しては大迷惑な命令を突きつけるのである。
「じゃっ!そういうことで、行くぞ!」
「えっ!? 今すぐですか??」
 本当に急な事に、旦那様はびっくりする。
「おう!お前の制服も用意してあるからな。全然大丈夫だ!」
「あなたが大丈夫でも俺が…っ!」
「生意気言うんじゃねぇ!!」
 抗議もむなしく、旦那様は突きつけられた軍服を着用させられ、いやいや護
衛の会場へと引きづられていったのであった………。


「ここは…。」
 会場まで引きづられてきた旦那様は、とある財閥のパーティー会場で顔を引
きつらせていた。なぜならそこは…。
「じゃ、護衛の方、よろしく頼な!」
「…え?」
 警備対象の要人ってのはどこだ??
 旦那様はターゲットを探してキョロキョロと視線を泳がせる。
「武!」
 そんな旦那様を見て、上官はにこにこと笑って旦那様の肩を叩いた。旦那様
がそれに振り返ると、そこには自らの顔を指差して上機嫌の笑みを浮かべてい
る上官の顔があった。
 まさか…――っ。
「護衛するのは、お・れ!」
「ええぇ〜〜っ!!!」
 旦那様は思わず絶叫する。上官とは言え、なんであんたの護衛をしなきゃい
けないんだ! 護衛と言えば、対象は当然長官クラス。なのになんでこの男の
護衛なんか…。
(やっぱりはめられたか〜……っ!)
 がっくりと旦那様は肩を落とす。
 車がこっちの方向に走り出した時から嫌な予感がしてたんだ。
 この屋敷はさる財閥の持ち物ながら、主が海外に事業の拠点を持っているた
め留守がちで、普段は数人の使用人によって管理されている静かな館であった。
ただ、今回は数日前からここのご令嬢の一人が帰ってきていて、彼女会いたさ
に多くの客人がここを訪れにぎやいでいた。ここのご令嬢はどうやら社交界で
かなりの人気者らしい。
…そんな彼女から、実は旦那様、再三、館への招待のオファーを受けていたの
だった。しかし旦那様はどうしてもその誘いを受ける気になれず、いろいろ口
実を作っては断りまくっていたのだが…。
(まいったなぁ…。まさか上官経由でせめてくるとは…。)
 猛烈なアタック振りに何かやるとは思っていたが、ここまでやるとは…。
 旦那様は再び頃の中で大きな溜め息をひとつつく。
 どうやら旦那様、ここのご令嬢に猛烈なアタックを受けているらしい。…し
かしそのご令嬢も、既婚者である旦那様相手にここまで直球勝負をしかけてく
るとはなかなか大胆な女性である。
  今日は彼女が海外に帰るためのお見送りパーティーだ。最後のチャンスとば
かりに、財閥の力を使って無理矢理情報部に圧力をかけて来たに違いない。
(はぁ〜…。)
 ここまで来くると、旦那様も半分あきれ返ってものが言えない。
「愛されてるな〜、武!」
 からかうように上官が旦那様の肩を叩く。やっぱり確信犯じゃないか…。
「まあまあ武、パーティーを楽しもうぜ!」
 そういうと、食わせ者の上官は護衛役の旦那様を後ろに従え、パーティー会
場へと乗り込んで行ったのであった……。

 さてさて旦那様、ご令嬢のお誘いからうまく逃げ出す事が出来るかどうか…。
今回は、次回増刊号へと続きます。
                           《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第八章 復活

 アレリニオは喜びいっぱいの笑みを浮かべたが、咲羽はアレリニオに飛びつ
くと、思いっきり泣き出してしまった。
「どうしたんだい?」
「どうして? どうして戦争なんかはじめたのよ!」
「さわ? 戦争ってヴェッサーのことか?」
「あなたは皇帝だから、一番安全なところにいて、自分の思うように人を操っ
て、権力を増大させて、自分の利益のために戦争はじめて…。みんな違う民族
なのよ。考え方も言葉も違うの当たり前じゃない! エルデが絶対? エルデ
が正義? 笑わせないでよ。なんで反乱を起こすか考えたことある? エルデ
のそういう他人を認めない態度で、武力で威圧するからよ! 他人を認めてか
らこそ国は一つになれるのよ。反乱軍もヒンメルの仲間だって、どうして寛容
なれないの? なんで言い分を聞いてあげないの? 武力による制圧では、い
つまでたっても民衆が言うことを聞かないよ! 反抗する人はどこにだってい
る。国があって人がいるんじゃない。人がいて国ができるんだ!」
「咲羽! 落ち着け!」
 アレリニオはつい、咲羽の左頬を平手で叩いてしまった。が、アレリニオの
右手は痛みを感じない。
「夢の中…だっけ」
 しかし、咲羽は頬を抑え、涙を流したまま呆然としていた。
「ごめん、つい。ただ言わせてもらうけど、武器をもって容赦なく人を殺して
しまう人たちに、君は武器ももたずに戦いにいくのかい?」
「なんでその人たちは武器を持ってしまったの? 権力のため? それとも自
由のため? 仲良くできるなら、国を渡してもいいじゃない。それでもヒンメ
ルは一つの国。」
 アレリニオは驚いた。たかが十六歳の小娘が、ここまで言ってのける。『そ
れでもヒンメルは一つの国』。オーカスとは対局の考え方である。そして平和
主義の南殿大神官ですら口にしない言葉だ。
「エルデの人々は、あまりにも一つの考え方に偏ってる。エルデは偉くない。
オーカス将軍がいるから、みんなへこへこしているだけ。じゃぁ、オーカス将
軍よりも優れた召喚士が現われたなら、世の中どう変わるかなぁ」
 衝撃的な一言である。ヒンメルには現在確認されている召喚士が7人いる。
フォールラードゥング大神官3人とミューラス島の魔法陣の番人、フラメの謎
の人物、すでに亡くなってしまっていた水境上人、そしてオーカス。
「まさか、咲羽、フラメの召喚士は誰だか知ってるのか?」
「………。本殿の大神官イアン様は、毅彦に狙われて山を下りて、ミューラス
へ行ったの。そして、北へ行った。」
「イアン様が、ミューラス島の番人?」
 咲羽はこくりとうなずいた。
「毅彦は、たぶん、北の魔法陣を解き放ちに行ったんだと思う。悠長に他の国
の戦争に構っている場合じゃない。魔大戦になってしまう。でも……」
「でも?」
 咲羽は、星がいない、という言葉を飲み込んだ。毅彦に勝てるのは、私だけ
かもしれない、でも、星がいないと力は出ない。
「星を返して…」
 少女は聞こえないように言った。
「その、毅彦って、召喚士なのか?」
 うつむき涙を流している少女に語りかけた。
 少女は顔をあげ、アレリニオを見つめる。その眼差しはだんだんと、驚きに
変わっていった。
「アル! あなた今どこにいるの? 危ない! 早く目を覚まして!」
 アレリニオの身体が、だんだんと黒い影に飲み込まれていく。
「え? 危ないって?」
「今、殺されかけてるよ!!」
 咲羽は印を唱えると、アレリニオに手をかざした。すると、アレリニオは飛
ばされるかのように、現実へと舞い戻ってきた。
 はっとして目を開けると、飛び込んできたのは振り下ろされるナイフであっ
た。
 

                              《続く》
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 あとがき
 なななんと、篠原の『聖獣戦記』が、オフセットフルカラー本になって、12
月30日発売大決定!ちなみに一般の書店には置いていません。
 挿絵・編集は、サークル『万穂』の栖史朗様。すごいです。今日原稿が届い
たのですが、見て感動してしまいました。是非堪能してください。また、オー
カスの純愛ストーリーも収録してあります。よだれもの…。
 それより。本号からまたまた新連載予定。
 そして。気になる夫婦の話はまた来月♪

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/11/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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