月間小説君が好き！2001/10/15 2001/10/16

メルマガ：月刊小説メールマガジン『君が好き！』
タイトル：月間小説君が好き！2001/10/15 2001/10/16

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓月刊小説メールマガジン　　　　　　　　　2001年10月15日　発行『君が好き！』　　vol.23 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓こんにちわ！　瀬乃　美智子です♪ 今回で美姫緒氏の『春秋左慈伝』もとうとう最終回。じっくり楽しんでくださいね！　ドラゴン・ラヴァもいよいよ敵キャラたちがでばって来てるし、目が離せない展開となってまいりました！　どうぞごゆっくりお楽しみ下さいね♪ ＨＰ更新情報瀬乃が体調不良の為停滞していた瀬乃担当小説のバックナンバーのＵＰが完了いたしました。お待たせいたしました～！！（汗）切り番ゲットした方は、報告ください♪ 追伸。申しわけございません。なんか…、手続きの時間帯の関係上、メイラックスご使用の方だけ、発行日が１６日になってしまいました。まだ発行作業に不慣れな瀬乃の仕業です。申しわけございません！！ ====================================================================== 今月の目次 ▼ドラゴンラヴァ・20　　瀬乃美智子 ▼春秋左慈伝『最終回』　篠原美姫緒 ▼あとがき ====================================================================== 　　　　　　　　　　　ドラゴン　ラヴァ・20 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by　瀬乃　美智子「瑠璃葉さんっ！！」　自室を駆け出した海里は、母屋の竜の池を目指してただただ突っ走る。　魔界から魔物たちが２匹、こっちに向かっている事を早く伝えなければ！　人間の姿に化けていればまだましだが…、竜の姿に戻っている彼女を見られようものなら、その場で二匹に狩られる！　間に合ってくれればいいのだが。　母屋にたどり着いた海里は、そこから足音を殺す。主が差し向けた魔族たちがすでにこちら側へとたどり着いている可能性もある。まだ味方と思われている海里は彼らに姿を見られても何の問題も無いはずだが、身を隠している方が何かと役に立つはずだ。見つかったら見つかったで、別に困る事もないのだから。（火竜たちが気付いてやって来てくれるといいんだけど…。）　先程主の来訪を察知した能力といい、本物の浅月の能力は想像以上に高い。魔族たちの到来を察知して駆けつけてくれているといいのだが…。（静かだな…。）　龍の池へと通ずる朱塗りの扉にたどり着いた海里は、既に明け放たれていた扉の淵から中を覗き込む。　扉が開いていたという事は、既に何者かがここから出て行ったということだろうか？　しかしその割りに庭の方で騒がしい気配が無い。もし運良く瑠璃葉が池から離れていたとしても、人間界にまだ不慣れな彼らは絶対自分を頼って探しているはずだ。主が差し向けた魔族ほどなら、海里にもその気配ぐらい感じ取れるはずなのだが……。「………っ。」　海里は意を決してそろそろと部屋の内部へと歩を進めて行った。細長い廊下を抜けると竜の池がある巨大な空間へと出る。　そこに海里が見たものは…。「瑠璃葉さん！？」　広間一面に敷かれている岩だだみの中、瑠璃葉と…思いもかけない人物がその中央部に身をおいていた。「何で竜彦がっ！」　海里は既に身を隠すことも忘れ二人に駆け寄っていた。　瑠璃葉は石だたみの上に腰を降ろし、その膝の上に床の上に身を横たえている竜彦の頭を受け止めていた。　何があったというのだろう？　竜彦は一見怪我はしていないようだが、完全に意識を失っているようだ。…まさか、人間の身で魔族と一戦交えたのか？？だとしたら、池から出てきた魔族たちは…？「瑠璃葉さん、これはどういう…？」　海里の問いに、瑠璃葉はその顔を上げる。　その表情は、別段おびえている様子も無く穏やかだ。「竜彦なら大丈夫、疲れて寝ているだけよ？」　瑠璃葉は、海里が横たわっている竜彦の事を心配しているのだと思い、にっこり笑って安心するように伝える。その言葉に、そうではなくて何か池の中から来たんじゃないのかと海里は問い直した。「えっ…？！」　途端に、瑠璃葉の表情が曇る。　しかし彼女の反応からして、既に魔族が池からこの人間界側に出てきたのは明らかだ。…それでも彼女が無事であるという事は、人間に化けた彼女が竜だと気付かずに素通りしていったのか？　だとしても、池から出てきたところを見られたとしたら、騒ぎを起こさぬためにも彼女を始末しているはずだが…。　思わず眉を寄せる海里を目にして、浅月の表情はさらに曇る。「あの…っ。」「なに？」　言いづらそうに口を開いた瑠璃葉に、海里は食い入るように対峙する。瑠璃葉は仕方なく、意を決したように話し出した。「あの…、池から出てきた魔物って、もしかして海里さんの…？」「そうだよ、俺の魔界での主が寄越した腕の立つ戦士たちだ。俺があまりに竜の報告を延ばしているものだから、待ちきれなくなったあいつが俺の見張り兼助手としてこっちに寄越したんだよ。俺もさっきあいつからの通信でそれを知って、慌ててここに来たんだけど」　あの入口の扉を開けたのは竜彦だったのだろう。海里より先に占いで危機を察知していた竜彦は海里より先にここへたどり着いていたようだが、今はこうして浅月の腕の中で意識を失っている状態だ。一体何があったというのだろう。「魔族たちが来たんだね？」「えっ、ええ…。」　瑠璃葉は何故か、困ったような表情を浮かべている。「…やっぱり、あのお二人、海里のお友達だったのですか？？」「友達っ！？」『友達』という、あまりにこの場にそぐわない単語を耳にして、海里は思わず瑠璃葉へとオウム返しに問い返す。　しかし瑠璃葉は思ったより真剣な表情だ。「友達って……っ、冗談じゃないよ。俺はずっと魔界ではいやいや主に仕えてたって――…っ、あっ？？」（そう言えば、瑠璃葉には俺の事全然話してないんだったっけ）　うっかりな事実に、海里は思わず頭をかいた。　そう言えば、火竜と本物の浅月には事の一部始終を話したが、あの時既に自室へと戻っていた浅月と竜彦にはまだ自分の事を何も話していなかったのだった。　まあ、この瑠璃葉の反応からしても、自分が魔族であることはばれてしまっているようだが…。というより、竜彦の占いの力を信頼している彼女は、竜彦が二人を魔族だと断言したあの日から、すっかり海里たちのことを魔族だと思い込んでいたようだ。もっとも、ウェスト…火竜は竜であったし、海里も正真正銘の魔族。竜彦の占いは間違っていなかったのだが…。「よかった～っ！」　海里の友達ではないという言葉に、ほっとしたように瑠璃葉の表情がなごむ。「私、あの二匹が海里さんのお友達だったらどうしようかと思って」「なんで？」「だって、もともと私の役目はこの池から出てくる魔物を押さえ込む事。私が池の底に張った結界を破ってきた彼らを、太刀見家の者たちから守るのも私の役目ですから」「え？　ということは、彼らと戦ったの？？」　海里はびっくりして飛び上がる。主がどの程度の戦闘用の魔族を寄越したか知らないが、それと戦って無傷だというのか！？　瑠璃葉が無事だった事にはほっとさせられたが…。「来た魔族って、どんな奴だった？？（瑠璃葉さんって、もしかして強いのかな？）　そう言えば、数百年間もこの池の主としてこの太刀見家を守ってきた瑠璃葉だ。よく考えればかなり強いのかもしれない。「紅い獣人タイプの魔族と…。真っ黒の体に銀色のローブをまとった魔物でしたわ」（うげっ！！まじで強いじゃん！！）　海里の顔面からサァッと血の気が引いた。…その二人なら知っている。主が抱えている戦闘系の戦士の中でも、最近かなり実力を上げてきた若手のコンビだ。「でもよかった。本当にあの二匹が海里さんのお友達でなくって。もしそうだと言われても、もう手遅れですもの…。」「手遅れ…？」　瑠璃葉の言葉に、海里は首を傾げる。　そう言えば、倒した魔族二匹の遺体はどうしたのだろう？　まさか、倒したのではなく、逃げられたのか？　だとしたら、それはそれで面倒な事に…。　しかし、瑠璃葉が次の瞬間口にした言葉に、海里は一瞬にして凍りついたのであった！「だってもう、ほとんど消化してしまいましたものっ。」「は？？」「久しぶりのごちそうだったので、ちょっとがっついてしまいましたわ」　お上品な言葉づかいに少々野蛮な箇所を含めながら、恥ずかしそうに瑠璃葉は頬を赤らめた。…え？　何をがっついたって？？「…たっ、食べたの？　あの二人…。」「ええ。頭からぱっくりと」　至極当然な事のようにうなずく瑠璃葉。どうやら彼女は、本来魔族を主たる食料にするタイプの竜らしい。太刀見家の安全と、自分の食欲と、二石一鳥というわけだ。「てっ、抵抗とかされなかったの？」　目の前のおしとやかな瑠璃葉がそんなことをするとはとても信じきれない海里は、思わず救いの道を求める。「あら。池から出てきたところをうむを言わせずひと飲みでしたから、抵抗する暇もあるませんでしたわ。まあ、胃の中に落ちてからしばらくは暴れてましたけど、私、胃は丈夫な方なので」「…そう…、ですか……。」　ものすごい脱力感に襲われ、海里は何気なしに瑠璃葉の腕の中の竜彦へと目をやる。　そう言えば彼は、どうしてこんなところで気を失っているのだろう。「竜彦は…。私の危険を察知して駆けつけてくれたようですが、私があっさりと魔族たちを片付けたことが分かって、安心して眠ってしまったんです。動ける状態の体ではなかったはずなのに…、本当に素敵な人」　そう言って低い寝息を立てる竜彦の頭を優しくなでる姿は、本当に素敵な恋人同士なのだが…、いかんせん、その片方が一刻前二匹の凄腕魔族をぺろりと丸呑みした竜の化身だと考えると、心中複雑なものがあった。「ふう…。」　海里は、瑠璃葉、海里の正体、それに卵の存在がばれ、しかも魔族到来まであったこの劇的な一晩に思わず溜め息をついた。そして、目の前の幸せそうな恋人たちを前に、再び表情を厳しくする。（…まずいよなぁ……。）　片付いたのはいいが、いなくなったのは問題だ。彼らからの定時連絡がなければ、主は必ず怪しむに違いない。だとしたらここは本気で…。「近いうちに、あいつがこっちにくるかもな……。」　着たるべく日の主自身の人間界到来に、海里は思わずその身をこわばらせるのであった―――…。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《続く》 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　　　　　　　　　　　　　春秋左慈伝　最終話　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　篠原美姫緒　「というわけなんじゃよ」「ほうほう。元放もたいへんじゃったのう」　許へと戻った左慈は、麻雀仲間の華佗に戦況を報告していた。　曹操は、足元を固め、河北の袁氏掃討に移っていた。「孟徳は戦利品を没収しての。酒は有無をいわさずわしがいただいたのじゃ。」　と、華佗の器に酒を注ぐ。「ささ、飲んでみなされ」「……美味い！　ええ酒じゃ～」「そうじゃろそうじゃろ」　この勝利で、曹操軍は、敵の軍需物資、地図や書類、珍宝の類をすべて没収し、多くの敵兵を捕虜にした。「おーいたいた」　いつものとおり、朝議を終えた荀彧が左慈を訪れた。「をを、文若。よいところへきた」「美味い酒があるぞ」　華佗は卓に座るよう促す。「袁紹の没収品じゃ」　左慈は荀彧に器を差し出し、酒をなみなみと注いだ。「おっとっと。……美味い！」「そうじゃろそうじゃろ」「そういえば、袁紹から没収した書類の中に、味方のなかで袁紹と内通していた者の手紙が出てきたようですね」「ほうほう」　荀彧の言葉に左慈も華佗も口をそろえてうなずく。　曹操はその手紙を見て、「戦中はわしでさえ、袁紹の強大さを恐れて、心がくじけようとしていたのだ。ましてや他の者においては当然のことであったろう」　と言って焼き捨てたという。「さすが孟徳じゃ」「元化と文若にも、孟徳の弱心をみせたかったのう。なかなか可愛かったんじゃ」「ほほう～。それは見たかったのう。自分だけずるいのう、元放。そういうときは、……元放。それロンじゃ～」「わおぅ！　跳ねたのう～」　室内に笑い声が響く。「それはそうと、元放。ほんとに旅に出てしまうのかのう」　華佗が言う。「ふぉっふぉっふぉ。ここにいては、またいつ孟徳に殺されるかわからんからのう」　　事実、曹操は何度となく左慈を殺そうとしているものの、いつも左慈に逃げられてしまっていた。城下に左慈の似顔絵を張り出して、逮捕命令が出ていたこともあった。「孟徳がいないうちに逃げておこうかと……」　左慈は酒が器になくなると注ぎ足した。　曹操は今、袁紹討伐のため、河北にいた。「うむ。孟徳のことだから、また、殺そうとするかもしれんなぁ。さびしくなるのう。」「行くあてはあるのですか？」「なぁに、心配はいらん。どこかで生きてるじゃて」　左慈は笑った。「元放は殺しても死なないからのう。」「元化の言うとおりじゃ。お二人さんも、孟徳には気をつけなされ」　その言葉はまるで、華佗と荀彧のその後を暗示しているかのようだった。「ついでといってはなんなんだが……」　華佗は、懐から竹筒に入った薬を取り出した。「元放、この薬を丹徒の徐堕という道士に渡してもらえんかのう」「ほいほい。」　左慈と華佗と荀彧は、心行くまで語り合った。　翌日、住まいはそのままに、左慈は、まるで近所に遊びに行くかのようにして、旅立っていったという。　　江蘇の東呉に入った。徐堕という者がいて、道術を心得ており、丹徒に居住していた。　左慈がそこを訪ねると、ちょうど門の前に客がいて、牛車が六、七台も並んでいた。　客は左慈にわざと嘘をついて、「徐公は不在ですよ」　という。「ほうほう～。んじゃまぁ、帰りますか」　左慈は客の嘘を見抜いていながら、おとなしく帰っていく。　客は左慈を見送り、ふと牛車を見ると、牛が楊柳の枝の上を歩いている。たまげて楊柳によじ登ると、消えてしまった。しかし下りるとまた牛は樹上を歩いている。　それだけではない。牛車の車輪にはすっかりとげが一尺も生えて、切っても切っても切れずに、押しても牛車は動かない。「うっ、うわぁ～！」　すっかり客はおじけづいて、徐堕に報告した。「めっかちの老人が来ましたが、さして用もないと思いまして、徐公は不在と申しましたところ、立ち去って間もなく、牛がこんなありさまで……。一体どうしたことでしょう」「しまった！　そのお方が左慈殿だ！」　徐堕は慌てて外へ飛び出した。「左慈殿がわたしを訪ねてこられたのじゃ。あんたがたに騙されるようなお人ではない。いそいで追いかければ、まだ間に合うじゃろ」　客たちは手分けをして左慈を追いかけた。　が、左慈は牛車の陰から現れた。「ほうほう、そなたが徐堕殿かえ～」「はい。あなた様が左慈道士ですね。」「うむ。元化から薬をあずかってきたのじゃが」「ををを！　それはありがたい！」　徐堕は左慈を屋敷へ招きいれようとしたが、左慈は断ると、楊柳に吸い込まれるようにして消えていったという。　　その後、左慈は、霍山に入って九転丹を調合するつもりだと、同じ仙人の葛玄に告げたまま、昇天していったという噂である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　劇終 ====================================================================== あとがき美姫緒氏、次はどんな作品を書いてくれるのでしょう？ただいま次回作の構想を練っているところというお話なので、よろしかったら何かリクエストしてみてはいかがでしょう？？ドララヴァは今回、ちょっと遊びすぎましたかね？（笑）不思議な夫婦チックだったかしら？嫌です？こんなの？？ ※一部の方々へ、おわびを……。　メーラーの関係で、「春秋左慈伝」が文字化けをしているらしいので（HPもおもいっきり文字化け～泣）申し訳ないです。　なるべく、コードにない文字は使わないようにしているのですが、コードにあっても文字化けしているものもあります。対策法はいまのとこないので、文字化けしている方、ごめんなさ～い（逃走）君が好きはリンクフリーです。ご意見ご感想をお待ちしております♪ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓　月刊小説「君が好き！」メールマガジン　　2001/8/15 19号　発行責任者　：篠原美姫緒　kimigasuki@1-emishop.com 　Ｗｅｂページ：http://kimigasuki.hoops.ne.jp/ 　君が好き！メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。　発行システム：『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』　マガジンＩＤ：0000025584　m00012567　ms00000142　　loveyou 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

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