メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/10/1 増刊号  2001/10/01


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月刊小説メールマガジン         2001年10月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.19
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 こんにちわ♪ 絶不調中の篠原です……。
 うおう! もう10月なんですね。いよいよ、今年もあと3ヶ月かぁ。(し
みじみ)なんか、いまいち時の流れについていけないですねぇ。
 篠原はいまラーメンに凝ってます。ひどいときは3食らーめん食ってます。
とはいうものの、インスタントですよ。生らーめんを買ってきて、自分でゆで
るんですけど、最近のインスタントラーメンは、おいしいですねぇ。名店の味
が家庭で食べられる。
 篠原の家の近くにある某らーめん屋に、辛さを変えられるらーめんがあって
このあいだ初めて入ったときに、「辛さ3」に挑戦した。…あんまり辛くなかっ
たので、今度は「激辛5」に挑戦しようと思う。
 地元のマイナーで美味しいラーメン屋の情報待ってます。

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
★随時、HPは更新しております♪

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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜失敗編〜』
●『聖獣戦記』第8章 篠原美姫緒
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       『ちょっと不思議な夫婦の話 〜失敗編〜』
                     by 瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけどちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。

「げっ!やばい!!」
 テレビの料理番組に夢中になっていた旦那様は、なにやら焦げ臭いにはっと
我に返って飛び上がった。
 慌ててキッチンへと駆け戻る旦那様。弱火にかけていたフライパンの火を止
め、恐る恐るハンバーグをひっくり返してみた。
「うわ〜っ。こげてるぅ!」
 真っ黒こげとまでは行かないが、ハンバーグの片面はかなり焼け焦げていた。
食べれなくはないが、かなり焦げ臭そうだ。
「作り直しか〜。」
 旦那様はがっくりと肩をうなだれた。
 夕食用のハンバーグを焼いている間、ちょっぴり料理番組を見ようと思った
のが間違いだった。料理番組に見とれて、肝心の料理を焦がしてしまっては意
味がない。
  あきらめてハンバーグのくすぶるフライパンに手をかけた旦那様の耳に、電
話のベルが鳴り響いてきた。
「はいはい…っ!」
 慌ててリビングの電話口まで行くと、受話器を取り上げる。電話の主は、さ
やかであった。
『あっ、旦那様??』
「うん、どうした?」
『――あのね。今近所のケーキ屋さんにいるんだけど、残ってるケーキがもう
そんなになくて……。えっと、ショートケーキと――、カシスムース、どっち
がいい?』
「えっ!?」
(もうそんなところまで帰ってきちゃってるの!?)
 夕食を作り直そうと思っていた旦那様は慌てる。
 奥様がいるケーキ屋から家までは15〜6分。駄目だ!! 今から作り直し
てたら、どんなにがんばってもさやかが帰るまでに間に合わない! …なんで
こういうときに限って、定時で帰って来るんだよ!
『――旦那様?』
「あっ、ああ! カシスっ、カシスムースがいい!」
『は〜い。じゃあ、楽しみに待っててね!』
「うんっ!」
 ガチャン。
 笑顔で電話を切りながら、しかし、旦那様の次の行動は早かった。
 食材のストックなどを納めている戸棚まで走ると、そこからデミグラスソー
スの缶詰を取り出し、キッチンへと戻る。
 深底タイプのフライパンを火にかけている間に冷蔵庫から玉ねぎとマッシュ
ルームを取り出すと、手際よくスライスし熱されたフライパンへと放り込んだ。
程よく炒まったところで先程のデミグラスソースの缶詰を投入する。ソースが
なじんだのを確認し、仕上げに先程の焦がしてしまったハンバーグを入れ…、
煮込みハンバーグの完成だ。
「ふうっ。…あとは、さやかが着くまで煮込めば焦げ臭さも薄まるし、ソース
で煮込んだ分、焦げ目も分かりづらくなるってものさ!」
 旦那様は自分のグッドアイディアに、うんうんと満足げにうなずいたのであっ
た…。

「ふーー! ごちそうささまでした〜っ!!」
 夕食を全部たいらげた奥様は、満足そうにフォークとナイフを置いた。
(…ふふふ。煮込み作戦成功っ!)
 どうやらハンバーグを焦がしてしまった事に気付かれずに済んだようだ。
「ケーキ、すぐ食べるかい?」
「ええ、いただきたいわ」
 ばれずにすんでほっとした旦那様はいそいそと食べ終えた食器を片付けると、
さやかが買ってきてくれたケーキの箱を手にリビングに帰ってくる。
 箱を開けた旦那様は中身を見て、おや?という表情を浮かべた。
 中身は、カシスムースと、オレンジババロアである。
「どうしたの、さやか? いつも食後のケーキはエスプレッソのケーキってい
うのが定番なのに…。」
 旦那様は不思議そうに首をかしげながら、さやかへとオレンジババロアと差
し出す。
 奥様はいつも、食後のケーキは苦味の効いたエスプレッソのケーキと決めて
るのだ。
 すると、旦那様の素朴な質問に奥様は、にっこりと笑って爆弾発言をかまし
た!!
「ええ。だって、今日はお料理の方が充分苦味が効いてるから、デザートはちょ
っと甘めの方ががいいかなって」
「えっ!?」
(うおっ! ばれてる!!)
 突然の真実発覚に焦りまくる旦那様!
「やっ、やっぱりハンバーグ焦げてたの分かっちゃった!?」
 目をうるうるさせながら、さやかに尋ねる旦那様。しかし、次の瞬間、何か
が間違っているぞということに、自ら気付く。
「あれ? ケーキ買った時はまだうちの外にいたのに、なんでハンバーク焦が
した事分かったの!?」
「うふふっ。」
 意味深な笑顔を振りまく奥様。
「…だって、電話口から焦げ臭い臭いがしてたものっ。」
「なるほどっ!!」
 んなわけあるかい!!
「ええ〜、…どうしてわかったんだろう……。」
 どうにも納得がいかない旦那様。
 やっぱり臭いは誤魔化せてもこげた部分が硬かったのかとか、いろいろと思
案を巡らせる。…いや、まてよ。焦げてたのはケーキを買うときにはもうばれ
てたわけで〜…。
 そんな旦那様の様子を見て、奥様はおかしくてしょうがない。
(あのハンバーグ、そんなにこげてたのかしら…??)
 奥様、心の中で衝撃発言!
 …そう、別に奥様はあのハンバーグがこげていたことに気付いていたわけで
はなかったのだ!
 ただ、以前旦那様が『僕のハンバーグはソースに苦味を加えて、大人の味に
するのが隠し味なんだ』と言っていたのを覚えていて、それをそのまま言った
だけだったのである。それを旦那様がたまたま自分の方に後ろめたさがあった
もので勘違いしちゃって…(笑)。
 奥様は旦那様の慌てぶりがついついおかしくて、本当の事を黙って楽しんで
いるのであった。
(それにオレンジババロアにしたのは、実はいつものケーキが売り切れてたか
らだけなのよね〜っ!)
 問題発言しすぎです、奥様!
 そう。今日に限ってオレンジババロアにしたのは、別にソースの苦味がどう
だからというわけではなかったのだった。たた単に、いつものエスプレッソの
ケーキが売り切れていたので仕方なく、売れ残っていたオレンジババロアを買っ
てきただけなのである。今日は珍しく定時で帰れたから寄ったのにーーーーっ!!
 …売り切れててとってもショックだった奥様は、旦那様に理由を聞かれても
あまりの悔しさに真実を言う気になれなかっただけなのだった。それが、旦那
様の凡ミスにたまたまHITしちゃったみたいで…(笑)。
「うっ…、さてはキッチンに隠しカメラがセットされてるとか!?」
 奥様にすっかりもてあそばれている旦那様は、想像力爆進中。…でも、この
夫婦の家庭の場合、それもありえそうな気がするからこわいです。
(おもしろいからこのままにしとこ〜!)
 いろいろ想像しすぎてパニックを起こしている旦那様を眺めながら、奥様は
いけないご決断。
 さて、旦那様がパニックを起こしている間に憎っくきオレンジババロアも(別
に、オレンジババロアが悪いわけではない)も食べ終わったことだし…。
「うふふっ。旦那様のことはなんでもお見通しよ! …ということでぇ……。」
 奥様はいまだに納得いかない旦那様をせかしてケーキを食べさせてしまうと、
さぁ行くわよと旦那様の手を強引に引いてリビングを出る。
「え?え?なになに?? まだ後片付けが終ってないよ? どこ行くの?!」
「いやあねぇ、旦那様」
 2階の寝室を目指しながら、奥様はにっこりと旦那様へと微笑みかける。
「私を騙そうとした罰として、今夜はたっぷりおしおきよ!」
「ええぇ〜〜〜っ!?」
 うわ〜んっ!おしおきはいいから、なんで焦げてたの分かったのか教えて〜!
とおねだりかする旦那様。そしてそれがおかしくてしょうがない奥様。不思議
な夫婦のおかしなやりとりは一晩中続いたのでありました……。

 追記。
 奥様がケーキ買えなくてブルーな日に限ってこんなグッドタイミングな凡ミ
スやらかして奥様を楽しませるとは……、さすがです旦那さま!!(笑)
                             《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第八章 復活

 かつての皇帝たちは、子孫を残すため、後宮に大勢の妻を抱えていた。その
なかには、貴族との関係を保つためだけに結婚した女性も少なくは無い。
「………。あいわかった。考えておく」
 この日、アレリニオはゼルスに対して別の返事をした。
「ゼルス、私にも気になる女性がいる。彼女が『はい』と返事をすれば、すぐ
にでも結婚するつもりだ。だが、妻は彼女一人でいい。妾はいらない」
 アレリニオのその言葉に、ゼルスの顔は見る見る引きつっていく。さらにア
レリニオは追いうちをかけるように、こう言った。
「その娘は、貧民出身だ。彼女以外に皇后は考えられない」
  アレリニオと結婚するということは、すなわち、ヒンメル帝国の皇后になる
ということであった。ゼルスは、自分の娘をアレリニオと結婚させ、自分自身
は皇后の外戚となって、実権を握るつもりであった。
「し、しかし陛下、皇后は昔から貴族出身者でないといけないと定められてお
ります」
「誰がそんなことを決めたのだ? ヒンメル憲章にはそんなことは一言も書か
れていないぞ。」
 ヒンメル憲章は、アレリニオが皇帝になったと同時に、それまであった、ヒ
ンメルの法制度を廃止して、導入した新しい憲法である。草案はもちろん、オー
カスである。導入時には、上級階級からの強い反対もあったが、市民に是非を
問いただし、導入に踏み切ったものである。
「我々貴族は、ヒンメル憲章には従えませぬ」
「あい、わかった。そなた一族は、今から身分を奴隷としよう。貴族で従えぬ
ならば、奴隷となってでも従え!」
「ひぃ!!」
「そなたのような輩がいるから、貴族は信用できないのだ。貴族という身分を
廃止しよう。今後、結婚に関しては口をはさむでないぞ。わかったならさがれ!」
「へ、陛下!」
 ゼルスは、護衛らに両脇を抱えられて、強制退出させられた。
「おまえたちも下がってよろしい」
 側近たちを下がらせ、アレリニオは執務室のとなりにある、自室へ入った。
 唯一、ホッとできる場所である。
 ソファーに倒れこむようにして座った。天井を見上げながら、
「さわ…」
 と呟く。
「会いたい、と念じれば会えるだろうか…。たとえそれが夢の中であっても…。」
 アレリニオは目を瞑り、呪文のように、咲羽の名前を呼んだ。
「咲羽、会いたい」
 何度唱えただろうか。
 次第にあたりは暗くなり、遠くの方から泣き声が聞こえてきた。
 アレリニオは、暗闇の中を走った。が、思うように足が進んでくれない。走っ
ても走っても、泣き声は近づかない。
「さわ―!」
 アレリニオは叫んだ。
 すると、泣き声はぴたりと止んだ。
「アル?」
 アレリニオを呼んだ声の主は、目の前にいた。
「咲羽!」
 アレリニオは喜びいっぱいの笑みを浮かべたが、咲羽はアレリニオに飛びつ
くと、思いっきり泣き出してしまった。

                              《続く》
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 あとがき
 最近、大食いになってきた篠原ですが、こないだのテレビチャンピオンをみ
て、ぶったまげました。
 タコ、あんなに食って腹壊さないのだろうか…。タウリンが豊富で肝臓や疲
労にいいらしいので、よく食べるのだが、醤油つけなくて大丈夫??
 そして、あのラーメンの数。24杯だっけ。あんたの胃袋どおなってんの!
人間業じゃないっす。でも、限界まで寿司食ってみたいよなぁ。

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/10/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142  loveyou
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