メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/8/1 増刊号  2001/08/01


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月刊小説メールマガジン         2001年8月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.17
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 こんにちわ♪ 篠原です。
 暑いですねぇ。今年の夏は特別みたいですね。
このあいだ、篠原がお買い物をして、外から帰ってくると、家の中がクーラー
をつけていないのに、ひんやりしていたので、びっくりして温度計をみたら、
それでも30℃ありました。
 外は一体何度だったのだろう…。
 熱中症にはくれぐれも注意しましょう〜

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
★随時、HPは更新しております♪
★夏コミ 8月12日(日)東5 フ 03a 『君が好き!』
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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜情報は正確に編〜』
●『聖獣戦記』第7章 篠原美姫緒
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       『ちょっと不思議な夫婦の話 〜手料理編〜』
                      by 瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけどちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。


「どうして…?」
 いつも通り定時帰宅した旦那様は、自宅のダイニングキッチンでしばし呆然
と立ち尽くしていた。
 普段なら定時で帰宅したあと慌しく夕食の支度をし、仕事で遅くに帰ってく
る奥様を迎え入れるのが習慣なのに、今夜は違う。旦那様が買い物袋を片手に
戻ってみると、ダイニングキッチンのテーブルにはすでに食器の準備がされ、
あとは料理を運ぶだけになっていたのだった。
「あら。お帰りなさい、旦那様!」
 隣接したキッチンから、さやかがひょっこり顔を出す。その体には、1年の
内数えるほどしか着てもらえないさやか用のエプロンが身につけられていた。
「ど、どうしんだ、さやか?」
「うん。今日はちょっと早く帰れたから、久しぶりに料理の腕を振るっちゃっ
た! いつも旦那様には 作らせてばっかりでお世話になってるもの、こうい
うときぐらい私が作ってあげなくちゃね」
 そう言ってさやかは、さあさあ旦那様座って待っててねと、武を席につかせ
てしまい、自分は料理を運ぶため、キッチンの中へと姿を消してしまった。
「さやかの手料理…。」
 旦那様の心臓が早鐘のように鳴り響き始める。
 もちろん、滅多に食べれないさやかの手料理を食べれるのはとっても嬉しい。
本当に、かけねなしに嬉しいのだが…。
「はい、まずスープね」
 そう言い、さやかはクリームシチューらしいものを旦那様と自分の席に並べ
ると、別の料理を取りにまたキッチンへと姿を消して行った。
「うわ〜、さやかの手料理だ!」
 幸せ満面の旦那様の笑顔が、スープの中身を覗いた途端、凍りついた。
 そこにあったものは…。
(うっ!ぶっ、分離してる……。)
 何をどうしたらこんなに綺麗に分離するのだろうと思うぐらい、ホワイトソー
スで作られたシチューは見事、白いクリーム部分と、なにやら半透明の液体と
思える部分に分離していた。だまが出来てしまったならともかく、クリームスー
プに一体何を入れたら分離するっていうんだ??
 そこに、さやかがメインの料理を手に戻ってくる。
「なぁ、さやか。このホワイトソースって自分で作ったの?」
 旦那様は、なるべくやんわりとさやかに尋ねる。
「ええ、もちろんよ。ちゃんと料理の本を見ながら作ったから、安心して!」
 奥様は自信満々といった感じで、こくこくとうなずきながら答えた。
 いや、できたらレトルトか何かの方が嬉しかったんですが……。
「さっ、いただきましょう♪」
 さやかが席につき、楽しい(?)食事タイムはスタートしたのだった……。


 旦那様のスプーンが緊張の面持ちでスープをすくい、口許へと運ばれる。
 その手が一瞬、躊躇する。無理もない。旦那様はさやかの手料理を食べて食
あたりを起こし、入院した事があったのだ。さやかの料理の腕は、こう言って
はなんなのだがとにかくひどいのだ。まさにデンジャラスゾーンなのである!!
(でも、折角、さやかが作ってくれたんだし…。)
 さやかにラブラブの旦那様の学習能力はどこか行ってしまったらしく、『滅
多に食べれない奥様の手料理』につられて、旦那様はとうとう最初の一口を口
に入れてしまったのであった!
(うっ!)
 あまりの衝撃の味に、思わず旦那様の口から本音が漏れる。
「うまい〜〜〜っ!!!」
「あらほんと? うれしい!」
 旦那様のお褒めの言葉に、さやかは嬉しそうに手を合わせた。
 そうなのだ。美味しいのだ、本当に美味しいのである。さやかの料理は、見
た目大失敗作品で、しかもそれを食べれば確実に病院行きというデンジャラス
なしろものにかかわらず、味は最高にいいのである!
 …しかし、それはある意味罪であった。
(うう〜、うまいよぉ。)
 旦那様はいけないと思いつつも、次々と料理を胃袋に収めてしまう。
 そう、これこそがさやかの料理の最大の罪なのである!! 長年の経験から、
それを食べれば確実に食あたりを起こしてしまうことを知っている旦那様でさ
え、その美味しさについつい手を出してしまうという…、まさにさやかは悪魔
のような料理を作り出す名手なのであった! しかも、当の本人はいくら食べ
ても全然平気という…、自分の料理の危険度を一番理解しにくいタイプなので
ある。


「ごちそうさまでした〜っ!」
「はい。よく食べたわね!」
 さやかは嬉しそうに微笑む。
 そうなのだ、よく食べてしまったのだ。
「…さやか、ごめん。後片付けもお願いしちゃっていいかな?」
「あらあら旦那様にしては珍しい。…いいわよ。旦那様にはいつも全部やって
もらってるから、今日ぐらいは私がやってあげる!」
 そう言い、さやかはテーブルの上の食器を片しだした。
 しかし、旦那様は別に食器を洗うのが面倒でさやかに片付けを頼んだわけで
はなかった。
(…いえ。手伝いたいのはやまやまなんですが、もう既に、お腹がシクシクしだ
してて立てないんですけど……。)
 旦那様の額から、滝のように汗が流れ落ちる。
 さやかの料理は即効性なのである!!
「うっ…!」
 バタッ!
 とにかく、薬を飲もうと立ち上がった旦那様の体が、そのままソファーの上
に倒れこむ。
「きゃあっ! どうしたの旦那様!?」
 おまえのせいだ、おまえの。
「い、痛い〜〜っ!!」
 ピーポー ピーポー ピーポーー!


 救急車のサイレンが哀しくコンボイ邸に響き渡る。
 …しかし、悪魔のような料理の腕前を持つさやかもさやかだが、それを知っ
ていて、その誘いを拒めない旦那様の学習能力のなさも自業自得である。

 美味しいものにはトゲがある…。今回は、そういうお話!


                             《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第八章 復活


 フラメ軍とエルデ軍は、ちょうどヴェッサーの首都水の都から南数百キロ下っ
た平原で衝突した。
 ヴェッサーのゲリラ軍は息を潜め、様子を伺っているようだ。
 中途半端な科学兵器と昔ながらの人海戦術で、戦いは泥沼化した。
 逃げ回っていたヴェッサー公国の王、ショーンは、ヴァルドとの同盟に力を
いれていた、ゲリラ軍の大将フォルダに捕らえられた。
 ことあるごとに対立していた、フォルダに捕まってしまったのだから、ショー
ンはくやしくてたまらない。
「ショーン王。もはやここまでですな。ヴェッサーの民はあなたを許しません」
 フォルダらは、ショーンを城に連れてかえり、機密を吐かせようと拷問にか
ける。
「いままで、わたしたちの仲間が味わってきた、屈辱を、いま!」
 ゲリラ軍の数々の仲間は、ショーンに捕まり、彼の手によって、残虐な拷問
にかけられてきた。
「や、やめてくれーー! 話す! なんでも話すから!」
 ショーンは最高機密を話すから、司令室へ連れて行ってくれと、懇願する。
「あそこへは、私本人でないと入れないようになっているんだ」
 必死になって懇願するショーンを、数回鞭で打つと、フォルダは連れて行け
と、部下に命令した。
 司令室の鍵は、ショーンの瞳であった。
 司令室に入ったショーンは、いきなり叫んだ。
「わしの国が……わしの国がぁぁぁ!!! くそ!やつらめ! みんな、みん
な、みんななくなってしまえばいいのだ。そうだ、みんな死んでしまえぇぇ!!」
 ショーンは、ファウストがつくった置き土産の一つ、ウランを使ったミサイ
ルを戦いのど真ん中に打ちこもうというのだ。
「ファウストの話だと、国一つは滅ぶらしいからな。奴らに渡すくらいなら、
国ごと吹っ飛ばしてやる!」
 血迷ったショーンを数人がかりで止めようとしたが、隠し持っていた銃で、
みな撃たれてしまった。
「ショーン! 貴様!」
「しねぇぇえ!!」
 厳重にコーティングしてあったウレタンの強化ガラスを銃で叩いて破壊する
と、赤い大きなボタンが現われた。ショーンは勢いよく押した。
 すると、忍者屋敷の城はうなり出し、地下から巨大なミサイルが地上へとあ
がってきた。
 ショーンは城から、まじまじとミサイルを見るが、その大きさに圧倒され、
声もでない。
 いっしょにいたフォルダもその大きさに口をあけたままである。
 ミサイルは、自動的にカウントダウンをすると、噴射口から勢いよく、炎を
噴出し、空高く白い煙を吐きながら登って行った。
 しばらくすると、強い光とともに大音響がヴェッサーを包んだ。そのあとに
は、空高くまで大きな丸い煙があがったという。
「目が、目が……!」
 ミサイルの行く末を、瞬きすることなく見守っていたショーンは、その強い
光に目をやられた。しばらくして、大音響とともに、かなり強烈な衝撃派が街
中を襲った。
 城も衝撃派によってあとかたもなく、吹き飛ばされた。もちろん、ショーン
もその肢体を衝撃派によって、切り刻まれ、どこかへと飛ばされていった。


 衝撃派は、ヴェッサーに隣接する三国にも届いた。
ヴァルドでは、万年氷の大地が、衝撃によってくだかれた。そして、ヴェッサー
を横断するように流れていた大川は、せき止められて、水が逆流し、エルデで
交差する新川に水が流れ込み、フラメで大洪水となったという。
 咲羽はそのニュースを、買い物途中で聞いた。
 街中の大型テレビジョンに、ニュース速報が流れた。
『ただいま入りましたニュースによりますと、先の大型ミサイル投下において
フラメ国立士官学園幹部候補生を含む数百名が死亡した模様。……くりかえし
ます。……』
  咲羽は、買い物袋を落とした。
 彼女だけ時が止まったようだった。
『……礼門院家御曹司星氏、行方不明。生存は絶望』 巻き込まれた兵士たち
の名前が次々に表示される。その中には、星の名前も含まれていた。
「う…そ…。うそでしょ?」
 咲羽は、心の中で自問自答をする。
 だって、星には死神がついていなかった。もしかしたら、星は軍をすでに抜
け出していたかもしれない。そして、どこかで生きているかも。
 でも……。
「いやぁーー! じょーう!!」
 咲羽の悲鳴は、摩天楼のビル街にいつまでも響きわたった。

                              《続く》
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 あとがき
 聞いてくださいよ〜。車ぶつけられたんです。
いままで、事故ったことのない篠原にとっては衝撃でした。普通に対抗車線の
ある道をこれまた普通に走行していたら、右横から一時停止を無視してきた車
が突っ込んできたんです。右後ろのバンパーが凹みました。
 怪我はなかったのですが、相手の保険屋(あ●おい損保)の態度がとっても
頭に来て…。
保険屋ってなんであんなに高飛車に出てくるんでしょうねぇ。保険屋の口車に
は乗らないように注意しないと損させられてしまいますね。

 御祓い行かなきゃ……。

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/8/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
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 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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