メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/5/1 増刊号  2001/05/01


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月刊小説メールマガジン         2001年5月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.14
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 こんにちわ♪ 篠原です。
 ゴールデンウィークですねぇ。とはいうものの、大連休なんて人はあんまり
いないのではないでしょうか。
 連休がなんだーー!
 篠原は、連休は大忙しです(泣)

HP更新情報 http://kimigasuki.hoops.ne.jp/index1.htm
★日記帳を追加しました。レス機能がついていますので、是非、突っ込みをい
れてください(笑)。日記は主に瀬乃が管理しています。
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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜編〜』
●『聖獣戦記』第7章 篠原美姫緒
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              『ちょっと不思議な夫婦の話 〜かくれんぼ編〜』
                                                    by 瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけとちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。

「あれ? どうしたんですか、課長。いつもの旦那様特製の愛夫弁当じゃない
じゃないですか」
「そうなのよぉ…。」
 部下に突っ込まれて、奥様は軽く溜め息をついた。部下の言う通り、さやか
のデスクの上にはいつもの愛夫弁当のかわりに、デリバリーのチャイニーズフー
ドが置かれていた。
「たまにあるんだけど…。旦那様、昨日から家出しちゃってるのよ」
「家出!?」
「正確には、かくれんぼ。昨日帰ったら、これが置いてあって…。」
 そう言ってさやかが差し出した紙切れには、彼女宛の置手紙らしい内容が書
かれていた。

『ちょっと出てきます。寂しかったら捕まえてごらん(^o^)丿 〜武より〜』

「つ、捕まえてごらんって……。」
「あるのよねぇ…、年に何回か。ほら、ここのところ事件らしい事件もなかっ
たでしよう? いつもなら殺し屋に狙われたりして逃げたりしなきゃいけない
のが、それがなかったものだから…。あきちゃったのね、旦那様。我慢しきれ
なくなると、スリルとサスペンス(?)を求めて、勝手にかくれんぼ開始しちゃ
うのよ」
「えらく大掛かりなかくれんぼですね」
「でも、武さんの事だから、課長の事が心配ですぐ帰って来るんじゃないです
か? 案外、帰ってみたら夕食作って待ってたりして」
 さやかがまったくと言っていいほど料理が出来ないのを知っている古参の部
下が、笑ってさやかをからかう。
 しかしそんな部下の台詞に、さやかはそれがそうでもないのよと溜め息をつ
いた。
「旦那様、そういうところは抜かりないの」
 さやかも、初めてこのかくれんぼをされた時には同じ事を考えた。
 しかしそこは旦那様、冷蔵庫をチェックしてみると、何と! さやかの為の
二週間分の朝食&夕食が調理、保存されており、後はレンジでチンするだけに
されていたのであった。二週間分の料理と言えば、さやか一人分と言えど大量
だ。それを少しずつ作り置きするのならさやかも警戒できるが、そうではない。
ある日突然、大量の料理と置手紙を残していなくなるのである。これにはさす
がの奥様も手の取りようががなかった。
「さすが旦那様。スリルを求めつつも、課長の健康管理には抜かりないんです
ね…。」
「しかも、かくれんぼが長期戦になって食料が尽きそうになると、どこから手
配するのか、クール宅急便で料理を送りつけてくるのよ。もちろん、旦那様の
手料理を。一体、どこで作ってよこすのかしら…。」
 どこか知らないお宅の台所で料理をする旦那様を想像して、その場の全員は
何やらいけない想像をしてしまう。…案外、かくれんぼ用に家の一軒も持って
たりして。しかも、愛人付きで…。
「まぁ、殺し屋たちから隠れる時もそうだけど。旦那様、国中…というより、
世界中にネット仲間がいるらしいから、泊まらせてもらえる所には不自由しな
いらしいのよね。それにこれは内緒だけど、隠れ家も持ってるらしいし……。」
「えぇっ!?」
 本当に持ってるのか!?
 全員、愛人付きの隠れ家を想像して、一瞬、部室内が騒然となる。
「えぇ、そうなのよねぇ…。」
 自分の部下たちがそんな邪な想像をしているとは思ってもみないさやかは、
うんうんとうなずく。
「…どうも、どこかの山中にあるらしくて。そこから帰って来た時は泥だらけ
なの。そこを使うのは本当に切羽詰った時なんだけど…。どこかの洞窟か、洞
穴…、とにかく、地中らしいんだけど。外界との接触を一切断って、非常食と
ランプの明かりだけで過ごすって言う、まさにサバイバルな……。」
『うげ…っ!』
 あまりに強烈な内容に、全員ひく。それならいっその事、愛人付きの隠れ家
にして欲しかった!
 奥様はそんな部下たちの反応を気にもせず、まあ、かくれんぼの時にはそこ
までやらないらしいんだけどねと笑って見せた。
「それにかくれんぼの時は、その間もちゃんと情報部には出勤してるから、国
内にいる事は確かなの」
 その言葉に、何だ、それなら職場に乗り込んで捕まえちゃえばいいじゃない
ですかと、部下が意見した。
「それは駄目! 仕事中に捕まえるのは、ルール違反なの」
「ルールがあるんですか!」
「そう。ルールに引っかからない範囲でと思って、仕事帰りを狙って捕まえよ
うとするんだけど、いっつも、裏をかかれてまんまと逃げられちゃうのよね。
前回なんか、捕まえるのに一ヶ月以上かかったんだから!」
「…そこまでやるか」
「あ〜ぁ、今回はどのくらいかかるかしら。料理なんてどうでもいいから、旦
那様に会いたいわ。捕まえたら、ただじゃおかないんだから! …フフッ。」
 語尾に何やら怪しい響きを残しながら、何やらにやつく奥様。旦那様、早く
帰ったほうがいいんじゃあ……。
 そんなわけで、旦那様かくれんぼ第一日目は、まったりと過ぎていったので
あった……。


 夕方。今日は何の事件も起きず、さやかは珍しく定時で帰宅の途についてい
た。
「あ〜あ…。」
 玄関からリビング、ダイニングへと移ったさやかは冷蔵庫を開けて溜め息を
つく。
 今日は何をチンして食べよう? やはり同じ旦那様の作った料理でも、当の
旦那様がいないと美味しさも半減だ。
 さやかは冷蔵庫の中から適当に一つ料理を取り出すと、そのままレンジの中
へと放り込み、スイッチをオンにする。電子レンジ特有の電磁音を横手に聞き
ながら、いつもなら飲まないワインへと手を伸ばす。いつもの彼女は、食事の
時は冷たく冷えた氷水派だ。ワインに手を出すという事はよっぽど寂しいのか…。
こういう時こそ恋人とデートでもすればいいのに、変なところで律儀な女であっ
た。
「ただいま〜〜!」
「えっ?」
 玄関からの聞き覚えのある明るい声に、奥様は一瞬我が耳を疑った。
 しかし、どう聞いてもそれは彼女の最愛の……。
「ごめん、さやか! 今日は、午後になって急に大きな仕事が入っちゃって。
さやかが定時で帰って来れた日に限って遅くなるなんて、まったくもう! 
…ちょっと待っててくれよな、今すぐ夕飯作るから」
「…………っ。」
 思わぬ残業に慌てて帰ってきた様子の旦那様を、さやかはしばし無言で観察
していた。
「…ねぇ、旦那様?」
「うん?」
 買い物袋の中身を出しながら、旦那様はにっこりとさゆかの方を振り返る。
「…何で…、こっちに帰って来ちゃったの? だって今、かくれんぼ中なのに…。」
「え?」
 さやかが言っている事が理解できず、一瞬、旦那様は小首を傾げた。
 そして、次の瞬間……。
「…あぁっ!!」
 明らかに「しまった!」という声を上げ、旦那様は凍りついたのであった…っ。

 …旦那様は、久しぶりの残業と定時に帰れなかったという焦りの為に、かく
れんぼをしているのをすっかり忘れてしまって、思わずいつもの習慣で自宅に
帰ってしまったとさ。

《かくれんぼ最短記録  約21時間》

奥様のコメント
「さあ、旦那様。時間は短くても、お仕置きはたっぷりして上げますからね!」
旦那様のコメント
「…全部あの残業が悪いんだよーーー! 折角、二週間分の料理まで作り置き
したのに、どうするんだよーーーーー!!!」


後日談。
 作り置きの料理は、奥様が職場に持って行って部下たちに食べさせましたと
さ。…今回一番得したのは、旦那様の美味しい手料理を腹いっぱい食べられた
部下たちかもしれませんね(笑)。

                                                       《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒

 咲羽の身辺が、急にあわただしくなった。
 それもそのはず。
「実践訓練という名の、戦争かぁ」
 フラメ公国で独裁政治を行っているヘスリヒは、ヴェッサーを獲得すべく軍
隊の編成をしている。手ならしにと、フラメ国立士官学園の幹部候補生たちも
正規軍に加わることになった。
「ちょっとちょっとちょっと!! どういうことよ咲羽!」
 学校の屋上で、空を眺めながら授業をさぼっていた咲羽のところに、悠紀子
が血相を変えてやってきた。
「あー、出たんだ。選抜メンバー。私、入ってたでしょ」
「なに、のんきに言ってんのよ。選抜に入ってんのはあんたじゃなくて、星君
の方よ!」
「はああ?? なんで星が??」
「それはこっちが聞きたいわよ! まぁ、礼門院のお祖父様が絶対許さないと
思うけど。」
 悠紀子は星の従妹である。礼門院はフラメ公国を代表する大豪族である。そ
の影響力は、大統領といえでも無視できない。
「あ、まさかこないだの見合い破談にしたからとか。あれは、叔父様もかんか
んに怒ってたしねぇ。」
「んなことで、兵士に選ばれるわけないでしょ。まさか……あ、やば…」
 選抜メンバーに入ってしまった礼門院星は、御曹司ともあって女の子に人気
が高い。そして、嫉妬の矛先はいつも咲羽に向けられる。
 階下のほうから、女の子の達の悲鳴にも似た声が聞こえてきた。
「んじゃ、悠紀子、あとよろしく〜」
「こら! 逃げるな!!」
 咲羽はひらりとフェンスを飛び越えると、悠紀子に手を振って、地上15階
から飛び降りた。
「ちょっと、咲羽どこよ!」
 咲羽が飛び降りたと同時に、女の子たち数人がやってきた。
「なーに、あんたたち。また咲羽いじめ? 選抜に入ったのは咲羽のせいじゃ
なくて、学校の校長の決定でしょ? 文句言いに行くなら、校長に言いにいき
なさいよ」
「当然よ! そしたら、星君が自ら志願したって! だから咲羽に…」
「ええ? どういうことよ?」
 ………礼門院家の御曹司が選抜メンバーに入るわけがない。星が自分から志
願したんだ……。
 咲羽は、校舎の屋上から飛び降り隣の校舎に移った。そしてまた、隣の校舎
へ飛び移り、そこから校舎の中へ入った。中等部の校舎だけに、さすがに咲羽
への追ってはいなかった。
 中等部の校舎を出ると目の前には、中等部の校庭がある。校庭の脇には、雑
木林があり、アスレチックコースや散策できる施設があった。
 咲羽は、雑木林の遊歩道を奥深くへと進むと黄色いロープで区切られた「立
入禁止」区域へと、草木をかき分け入っていった。
 そこは、まだこの学校に転校したての頃、星と共に見つけた秘密の研究室で
ある。
 プレハブの小屋に、機材が所狭しと置かれていた。
「よう、咲羽!」
 星は、小屋の整理をしていた。
「よう、咲羽! じゃないでしょ。なんであんたが選抜メンバーに入っている
のよ」
「志願したからに決まってるじゃないか」
「志願って。あんた、お父様やお祖父様がお許しになると思うの?!」
「許すわけないじゃん。でも、大統領が選抜メンバーに判子押したから、もう
大決定さ」
「‥‥やっぱり、見合い断ったのって‥‥」
「ちと、彼女に頼んでおいたんだ。……フラメを出られるチャンスだと思った
からさ。上手く行ってよかったよ」
「あほか。んなことしたって、フラメ出るなんて無理じゃん。このフラメを背
負ってたつ礼門院の御曹司が戦争に、しかも一兵士として参加できるわけない
でしょうに」
 星はいきなり、手に持っていた分厚い本を地面に叩きつけた。
「咲羽! 御曹司御曹司っていうなよ! 俺はなぁ、おまえと一緒に生まれて
来たんだぞ。たしかに、礼門院の血は引いてるかもしれないけど、汚らわしい
って、お家の中では異端児なんだ! じいさんなんか、外面がいいだけだ。ほ
んとうは、心の中でせいせいしてるはずさ」
「……ごめん。」
「……。行って来るよ。外の世界へ。そして、毅彦と決着をつけてくる。」
「!! 決着って……」
「俺は、おまえのような力はないけど、その分、文明の力で補ってきた。機械
が勝つか、聖獣が勝つか、勝負。それが俺の決着のつけかただ」
「そんなふうにいわないでよ」
 仮にも、咲羽にとっては、自分の兄と弟が、生死を賭けた決戦をしようとし
ている。
「ここにある、俺の発明品はみんなネーサンにあげるよ。実家に帰って、荷物
の整理してくるから、ここはあとよろしくね。ネーサン」
「じょ…う…」
「いっておくけど、俺は、咲羽のこと姉だと思ったこと一度もないからな。で
も、今は姉と思ってないと、離れるのがつらいからな…」
 咲羽は、なにか言おうとしたが、星の口にふさがれてしまった。

                              《続く》
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 あとがき
 日本ははたして変わるのだろか。。。。あまり期待はしていないが。
 最近、瀬乃ちゃんと夜な夜なヤフーのメッセンジャーでチャットしている。
ちなみに、瀬乃ちゃんとは毎日メールもやってたりする(笑)
なんでこう、毎日いろいろやってるのに、話が尽きないのかがとっても不思議。
でも、こうやっていろいろ話せる友達がいるというのはとってもありがたいね。
 おかげで、HPのほうも活性化してきました♪
 夏には新刊だせられるかな〜

君が好き!はリンクフリーです。
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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/5/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142  loveyou
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