メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/4/1 増刊号  2001/04/03


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月刊小説メールマガジン         2001年4月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.13
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 こんにちわ♪ 篠原です。
 今日はエイプリルフール♪ おかげで篠原の友人たちは、日付が変わった早々
嘘つきまくり(爆)
 は、おいといて、また配信送れました(泣)
4月はなにかと忙しい時期ですね。。。。
入学、就職のかた、おめでとうございます♪

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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜即日使用編〜』
●『聖獣戦記』第7章 篠原美姫緒
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      『ちょっと不思議な夫婦の話 〜即日使用編〜』
                           by瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
さやかに溺愛される夫、旦那様こと、武(たける)の熱々だけとちょっと不思
議な夫婦の話、はじまりはじまりです……。

「何でお前が武さんと二人っきりで食事してるんだよ、ゲインズ!!」
「あ、ロス…。」
 某チャイニーズレストランの個室で食事を摂っていた旦那様とゲインズは、
突然の訪問者の乱入に一瞬、その箸を止めた。
 旦那様と差し向かいで食事を摂っているゲインズは、以前仕事上の衝突から
旦那様のパソコンにハッキング、罠をかけようとして失敗し、それ以来、旦那
様の忠実な下僕……、もとい、かわいい手駒、いや、後輩……でもないか、まぁ
とにかく、旦那様の協力者となった青年であった(『罠編』参照)。
 ロスと呼ばれた乱入者はゲインズの情報部での同僚。彼自身も過去に旦那様
と仕事上で何らかのトラブルがあったらしく、彼の場合は、旦那様の自動車に
爆弾を仕掛けるというかなり過激な手段をとったようだった。もちろん、それ
は失敗に終わり、以来、旦那様の忠実な下僕(これは本人談)となっていた。
 しかし、当の旦那様はというと、ゲインズの事は気に入っているらしいが、
このロスという青年に対しては妙に冷たい。その理由の一つが、ロスが過去に
仕掛けたという爆弾の配線が自分の好みでなかっと言う……、なんともどう言っ
ていいのか困る内容なのだからしょうがない。
 同僚のゲインズがこういう事になって、自分のライバルが(何のだ…。)増え
たと焦っていたロスは、そんな二人の密会(?)現場を発見し、ジェラシー(…
懐かしい言葉だな)燃えまくりなのである。
「何の用?」
 食事を中断された旦那様は、少々ご機嫌斜めのご様子である。
 ロスの方はそんな旦那様の様子びびる。
「きっ、聞いて下さい、武さん!!」
 ご機嫌直しとばかりに、ロスは手にしていた紙袋の中からランチボックスサ
イズのアルミ製の箱を取り出して見せた。そして、それを二人がついているテー
ブルの上に乗せると、その蓋を開け放った。
「は?」
 その中身に、ゲインズが思わず間の抜けた声を上げた。
 その中身は、何やら配線とICチップと紙粘土の塊のようなものの集合体で
あった。これはもしかして……。
「俺、武さんの期待に答えるべく、がんばりました! 見てください。武さん
 好みの配線にしてみました!!」
「ふぅん……。作ったんだ、爆弾」
「ばっ、爆弾!?」
 ゲインズは驚いて、思わず椅子から立ち上がる。
 いくら好みの配線じゃなかったと言われたからって、普通、また作ってくる
か!? それに持って来ないだろう、こんな一般の店まで。…よかった、個室
にしておいて。
 爆弾を差し出された旦那様は、その中身を半分気のなさそうな表情で覗き込
む。
「………、まあまあって感じかな?」
「まあまあ…。」
「うん。今ひとつ、決定打に欠けるんだよな…。」
 旦那様の評価に、ロスはガックリと肩を落とした。
「…まぁ、折角作ってくれたんだし、貰っておこうか」
「えっ!? 貰ってくれるんですか??」
 今さっきまでしゅんとしていたロスは、ぱっと表情を明るくした。現金なも
のだ。
「うん。折角だし、今度使ってみるよ」
(使うのか!!)
 横で様子を伺っていたゲインズは、思わず心の中で旦那様に突っ込みを入れ
る。
 …一体、どこで使うつもりなんだ。
「ロス。俺はちょっと席を外すけど、君も席について一緒に食べないかい?」
「え? いいんですか!?」
 食事に誘われたロスは、旦那様の気が変わらぬうちにと、早速席につく。
 旦那様はゲインズへ、ちょっとこれ置いて来るからと声をかけ、ロスの持っ
て来た爆弾を手に部屋の外へと消えて行った。確かに、店員にでも見られたら
えらい騒ぎだ。外に停めてある車にでも置きに行ったのだろう。
 旦那様の姿がすっかり見えなくなったのを確認して、ロスがゲインズへと口
を開いた。
「ゲインズ、お前帰れば?」
「………。」
(俺は早速お邪魔虫かい!)
 思わずムカ!っと来たゲインズはロスをにらみ返す。こうなったら意地でも
帰るもんかと思ったゲインズだが、次の瞬間、ある事をひらめいて席を立った。
「分かった、帰らせてもらうよ」
「おぉ、どうぞどうぞ」
 部屋から立ち去っていくゲインズを、ロスは嬉々として見送ったのであった
……。


「武さん!」
「あ、ゲインズ君」
 駐車場から店内へと戻りかけていた旦那様を、ゲインズが捕まえる。
「おなかも結構いっぱいになりましたし、今度はどこか飲みに行きませんか?」
「あぁ、いいね」
「さ、行きましょう。ロスは明日が早いんで来れないそうですから」
「そぉ…。」
 ゲインズに背中を押され、旦那様は駐車場へと逆戻り。
 二人で乗ってきた旦那様の車へと、乗り込んでいったのであった……。

「くそ! ゲインズの奴!!」
 20分後、自分が置いてきぼりを食らった事を知ったロスは、駐車場の自分の
車の前で地団駄を踏んでいた。置いてきぼりを食らった上に、食事代まで払わ
せやがった!
「旦那様は、あんな奴のどこがかわいいって言うんだ!」
 考えてみれば至極もっともな話だ。
 元々仕事がらみだったとは言え、ゲインズは旦那様のパソコンへハッキング
をかけ、旦那様に罠をかけようとまでした男である、一筋縄でいくはずがない。
そんな男を怒らせてしまうロスの方が馬鹿なのである。それでも旦那様は彼の
事を気に入っているというのだから…、やっぱり旦那様もちょっぴり変わって
いる。
 ロスはそんな事をぶつぶつと呟きながら、自分の車のドアを開け放った。
『カチッ!』
「は?」
 何かのスイッチが入ったような機械音に、ロスの動きが一瞬止まった。
 そしてその目が、運転席のシートに置かれた物体に注がれる。それは、彼が
先程旦那様へプレゼントしたばかりの、時限爆弾であった。
「なぁんだ。さっきの音、爆弾のスイッチが入った音か…、って…。」
(のんびりやっている場合か!!)
 しかも、始動後30分で爆発する設定にしてあったはずのタイマーは、ちゃっ
かり旦那様の手によって10分に短縮されていたのであった。
 その傍らには、旦那様の直筆メッセージ。

『自分の作った爆弾を時間内に解体できないようじゃあ、君もまだまだだよ?』

 …まだまだって言うか、爆発した時点で、俺、もう終わりなんですけど(泣)。
「なにも、早速俺に使ってくれなくてもーーーーっ!!!」
 慌てて解体にかかるロスの悲鳴が、辺り一面に響き渡ったのだった……。


「あれっ。それ何ですか、武さん?」
「あぁ、これ?」
 ゲインズの問いに、助手席の旦那様は手の中のものを開けて見せた。それは、
握り拳大(だい)の白い粘土のような物であった。
「プラスチック爆弾。 …彼じゃあ、あの爆弾を10分以内に処理するのは無理
 だろうからね。さすがに死なれちゃまずいから、ただの粘土とすり変えてお
いた」
「早速使ったんですね…。」
 しかも、ロス本人に。
 レストランに置き去りにした自分よりも、よっぽどひどいかもしれない。い
や、ひどい!
 この人だけはもう二度と敵にまわすまい。ゲインズは今頃偽物とは知らずに
命がけで解体をしているであろうロスに同情しつつ、心に硬く誓ったのであっ
た……。

――1時間後、バーにて――
旦那様  「あれはあれで、ロスもかまってもらえて喜んでるんだってば」
ゲインズ 「そうでしょうか…?」
旦那様  「愛情のかけ方も、欲しがっている愛の形も人それぞれ。あれはあ
      れで、彼は幸せなんだよ。全てを与えてあげるのが必ずしも愛じゃ
      ないんだよ、ゲインズ君?」
ゲインズ 「………っ。」

    《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒

 ヴァルド制圧以降、アレリニオ率いるエルデは、ヴェッサー公国に目を向け
ていた。ヴェッサーの治安は乱れに乱れ、ショーン自慢の軍部ですら、彼に反
発するものが出始めていた。妻と子供は、妻の故郷であるフラメへと逃れてい
るし、たのみの綱であった、悪名高きドクター・ファウストは、ミューラス島
の魔法陣の中に吸い込まれて帰ってこない。
 内戦状態であった。
 内戦というのは、おそろしいもので、昨日まで仲良しのお隣さんだった人が
一日して、敵となってしまう。
 ヴェッサーも例外ではなく、日に日に内戦の状態はひどくなっていった。
 ヒンメルの皇帝であるアレリニオは、ヴェッサーに対し、経済封鎖と治安維
持軍を派遣した。
 ショーンは身の危険を感じ、みずから雲隠れをする始末。挙げ句に、彼ご自
慢の軍は、こともあろうに、ヒンメル治安維持軍と交戦し、ヴェッサーの首都
を占拠。クーデターを起こし、ヴェッサー公国として、ヒンメルからの独立を
唱えた。
 オーカスがいないヒンメル軍は、雑魚も同然――。
 その認識は、ヴェッサーのクーデター軍だけではない。
 フラメの大統領、ヘスリヒもヴェッサーへの軍の派遣を決めたのであった。


 一方、オーカスは単身、魔物の棲むという北の大地を目指し、深い雪の中を
犬ぞりに乗って北へ向かっていた。
 いくら科学が発達したからといって、こう、深い雪と吹雪では、文明の力と
も言うべき、車やリニアはまるで役にたたない。通信機器や方位計なども通用
しないという、過酷な条件である。
「はぁーー」
 息は白く、鼻水はすぐに凍る。
 救いなのは、犬たちが自分のいうことを聞いてくれることであった。
 360°の銀世界の中を、自分の感だけがたよりに北へ進む。
「うわぁ!!」
 犬ぞりは、小高い氷雪に乗り上げ転倒してしまった。
 無情にも、吹雪はひどくなるばかりだ。
「まさか、これも聖獣の力ではなかろうな」
 オーカスは、止みそうもない吹雪につぶやいた。
 風の音で、なにも聞こえないはずのオーカスの耳に、はっきりと男の声が聞
こえた。
「聖獣は聖獣を喰らい生きながらえる」
 薄暗い吹雪の中に浮き上がる人影は、まだ少年の面影を残していた。
「だ、だれだ?!」
 オーカスにはその少年がただの人間ではないことに、すぐ気がついた。この
吹雪の中、彼の周りだけ、風が止んでいる。
「オーカス将軍、こんなところでお目にかかれるとは、光栄です」
「……。」
「将軍ももう歳なのに、よくこんな北の果てまでくる気になったものだ」
「おまえ、だれだ? 聖獣か?」
「聖獣? あんな化け物ではない。俺のことすら覚えてないか。。。俺は――
フォールラードゥング北殿の首領、毅彦」
「き、貴様が毅彦か!!」
 オーカスは、この時初めて、「恐怖」を覚えた。明らかに、毅彦の力のほう
が自分の能力よりも勝っている。
「将軍、残念ながら、あなたには、北の聖獣の封印を解くことはできません。」
「な、なんだと!」
「封印を解くには『鍵』が必要です。あなたはそれを持っていない。だが。」
「だが?」
「聖獣の餌になることは、できそうだ」
「え、えさぁ?!」
「本殿のイアンには逃げられてしまったが、将軍でも少しは足しになる」
「どういう意味だ!」
 毅彦は、右手を空に向かってかざし、呪文とともに、右手で空に魔法陣を描
く。
「ま、まさか!!!」
 突然、吹雪は止み、空の雲は一瞬光った。
 雲の間から現れたのは、鳳凰であった。
「ば、ばかな! 毅彦、貴様も召喚士だったのか!」
「召喚士ではない。狩人(ハンター)だ」
「は、ハンター?」
「召喚士と封印士の両方を併せ持つ。そして、」
「そして?」
 そして、鳳凰は、毅彦の手の合図と共に、オーカスへ向かって舞い降りた。
鳳凰の鋭いくちばしは、オーカスの身体を貫いたのだ。
「そして、聖獣を狩る。オーカス将軍、あなたの召喚能力をたしかにいだたき
ました。」
 心臓の止まったオーカスの身体は、この北の大地で一瞬にして凍り付いてし
まった。
 雲の切れ目から、太陽の光が射し込んで、冷たく凍った大地を照らし出した。
地平線の彼方まで、新雪がきらきらとまぶしく光り出す。
「見つけたぞ。聖獣」
 毅彦の眼差しの先には、結界で先へ進めないユイのいる庵が、ぽつんと大地
に建っていた。


                              《続く》
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 あとがき
 うおう。なんとかここまでこごつけたぞな。。。
瀬乃ちゃんのプロバイダも正式に決まり、あとはテレホーダイを待つのみとな
りました。これで、原稿もメール入稿になり、一件落着♪
小説のほうもいよいよ核心にせまりつつあり、人間模様もこじれにこじれるこ
とでしょう。。(≧∇≦)
次回をお楽しみに〜♪

君が好き!はリンクフリーです。
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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/4/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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