メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説マガジン『君が好き!』  2001/03/02


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月刊小説メールマガジン         2001年3月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.12
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 こんにちわ♪ 篠原です。
 花粉が舞う季節になってしまいました。篠原は、『花粉症』という病名がつ
く前からの重症患者で、この時期になると、鼻水、結膜炎はもちろん、異様な
ほどの肌荒れやら、内臓疾患になります(泣)
暖かくなるのは歓迎ですが、やはり、枯れ木に春が来るのは許せませんね(笑)
 そして、今年もいろいろな花粉対策グッズを購入する〜。
 でわでは〜
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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 『ちょっと不思議な夫婦の話 〜〜』
●『聖獣戦記』第7章 篠原美姫緒
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      『ちょっと不思議な夫婦の話 〜爆弾編〜』
                           by瀬乃美智子

 某国情報部の腕利き情報部員にして十数名の部下をまとめる女課長の奥様、
さやか=ド=コンボイと、常識人のようでやっぱりちょっと変わってる(?)、
妻に溺愛される夫、武(たける)の熱々だけどちょっと不思議な夫婦の話、は
じまりはじまりです……。


 その日、たれこみ屋からの一本の電話を期に、情報部13課の空気は一気に
色めき立った。
「大変だ! テロリストが課長の自宅に小包爆弾を送り付けたそうだ!!」
「何っ!?」
 部下の一人が、素早く自分の腕時計に目をやる。
 午後三時。
「よかった、今の時間なら武さんも仕事中ですね。誰も家にいなくてよかった
 ですね、課長」
「いるわよ? 旦那様、今日風邪引いて仕事休んでるの」
「えぇっ!!?」
 落ち着きかけていた室内が、再びざわめく。
「じゃあ、今頃旦那様の所に小包が……っ!」
「えぇ。まずいわね…。」
 さすがに、さやかの顔にも緊張が走る。真顔のまま、重々しい口調で呟く。
「…旦那様が休んでる時に限って小包爆弾が送られて来るなんて、おかしいわ。
 これは見張られているというより、旦那様が勤めている訓練所の出勤データ
 が、どこからか漏れてるわね。早速、調べないと…。」
『そんな事を言ってるんじゃなーーーいっ!!!』
 部員全員の突っ込みがさやかへと入る。
「そんな事より…、いや、それも大事ですけど。それより、早く旦那様に連絡
 して小包に手を触れないように知らせないと!」
「あら、やあよ」
 普段あれだけ旦那様を溺愛しているさやかが、何故か電話を嫌がった。
 何故かというと、
「今、三時でしょ? お昼ご飯を食べ終わって、ちょうど熟睡している頃なの
 よねぇ…。」
「はぁっ!?」
 わけの分からぬ理由に、部下たちのイライラ&ハラハラは頂点に達した。
「何言ってるんですか、課長! さぁ、早く電話して! 熟睡が永眠に変わる
 前に早く!!」
 部下たちにせかされ、さやかは渋々電話をしたのだった…。

 旦那様にしては珍しく、8コール目にしてやっと電話はつながった。
「旦那様? お休みのところごめんなさい。実はね…。」
 状況を説明する事、数分。次に課長の口から出た台詞に、彼女の部下たちは
目を見開いた。
「え? 小包なら午前中のうちに届いて……、爆発する前に解体した?」
「ええっ!?」
「逃げてもよかったけど…、熱があったから家でゆっくりしたくて、自分で処
 理した…と。そう、それならいいの。お休みのところ本当にごめんなさいね、
 じゃ」
 電話を切るさやか。部下たちはそれを呆然として見つめていた。
「よかった。旦那様には悪いけど、そのままうちで爆発してたら、ご近所迷惑
 になるものね」
「そういう問題じゃありません!」
「爆弾の解体ができるなんて…。何者なんですか、武さん!」
 課長の旦那様って確か、我々と同じ情報部員とはいえ、訓練所のデスクワー
ク担当の、優しくて奥さん思いの極々ふつーの一般男性…、のはず!
「あら、旦那様は解体するのも得意だけど、作るのはもっと得意よ?」
 俺たちが言いたいのはそんな事じゃありません! と、涙ぐむ部下たち。し
かも作る方が得意ってのはなんなんだ!
 いや、実際は君たちがあまり知らないだけで、本当はすごい人なんでけどね、
あの人は。ふふ…っ。
 最後にさやかは補佐役の主任に振り返り、にっこり笑ってトドメの一言を言
い放った。
「うちの時計が昨日から壊れてたんだけど、解体した爆弾の中に、ちょうどい
 い部品があったから使っちゃったって言うんだけど、いいわよね、ライ?」
「もう…、何だっていいです」
 部下たちが愕然と立ち尽くす中、ちょっと不思議な夫婦の片割れ、さやか=
ド=コンボイはそんな彼らを見てまだまだねと、コロコロ笑って見せたのであっ
た…。


    《続く》

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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
第七章 神獣召喚

「ハインが灰色……」
「い、いきなりなんですか。ユイ様」
 部屋の片づけをしていた、ハインはユイの言葉に戸惑う。
 ユイ・ハイン・カレリニオの三人は、赤い砂漠から庵ごと北へ移動した。そ
して、少しずつ少しずつ力を使い、北へ北へと庵ごと移動する。
 だが、とある村はずれから北へは進むことが不可能であった。
「聖獣の結界だわ」
 ユイがそう言った。北の大地には聖獣の結界がはってあるのだ。
 外は吹雪。
 雪は一向に止む気配はない。
 ユイのマスターとなった、カレリニオ・エドルは、最近、ユイの父親である、
水境仙人――聖獣ラムウの残した書物の解析に勤しんでいた。
 書物に埋もれ、足の踏み場もない状態であった部屋を整理していたハインに、
襖を開けたユイが突然言った。
「ハインの陰が灰色なのよ」
「………。」
 ハインは黙ったまま、部屋の片づけを続けた。
「陰が灰色???」
 本に没頭していたはずのカレリニオは二人の異様な空気に気づいた。
「生き物には誰しも体から放つ『気』みたいなのを持っているのよ。その『気』
の色がね、灰色なのよ」
「灰色だと、何か問題あるのかい?」
 そのカレリニオの問いに、ハインもユイも目線を反らした。
「おいおいおい! なんだよ! なにかまずいのか?」
 ………。
 重たい空気の中、ユイの高い声が響いた。
「白い色は、天寿を全うした証。黒い色は不慮の事故で命を落とすこと。灰色
は……。」
「灰色は?」
「もうやめましょう! ユイさま!」
「灰色は、病気……。しかも、生死に関わるほどの重病。じわじわと、自分の
死んでゆく姿を見ていくような、そんな残酷な死を……。」
「やめてくれーーー!」
 ハインの怒鳴りはしばしの静寂をもたらした。時を刻む、柱時計の振り子の
音が庵全体を包み込む。
「ハインは、どこか具合が悪いのか・・・?」
「死に神に取り憑かれたのね」
「その……。『気』が灰色だと絶対、治らないのか?」
 ユイはゆっくりとうなずいた。
「あきらめるなよ! ハインもユイも。病気なら治す方法がかならずある。気
休めなんかじゃなくて、医学が発達してるんだ。病院に行けばなにか薬をもら
える」
「ありがとうございます、カレリニオ。でも、私が灰色にみえてしまっては、
もう手遅れなのです。あとは……。」
「あとは?」
「他の聖獣の生き血を啜るしか、生き延びる方法はないのです。」
「他の聖獣の生き血を啜るって……!」
 ハインはそれだけ言うと自室に籠もってしまった。
「ハイン!!」
「カレリニオ、ほっといてあげて」
「し、しかし」
「聖獣の宿命なの。人間は、医学が進んで、治療法や薬で生きながらえること
ができても、聖獣は、欠陥が生じれば、他の聖獣から補うしか方法がないの!」
「ユイ……。」
「だから、だから父さんは、自分の最後の命を使い切って……私を、」
「なるほど。それで、聖獣たちは醜い同士争いを頻繁に起こしていたのか」
「……? えっ?」


「聖獣たちは、自分に欠陥が生じると他の健康な聖獣を襲って、その命を自分
のものにかえることができた。それが、聖獣が不老不死であると言われる由縁
である……」
 ショーンはファウストが残していった日記に目を通していた。その日記は、
聖獣の生態についてばかりで、聖獣を呼び出す方法などは書かれてはいなかっ
た。しかも、その日記には呪文のように、必ず「人間は聖獣になれる」と記し
てあった。
「もはや、わがヴェッサー公国もこれまでか!」
 ショーンは日記を床に叩きつけた。
 ヴァルド制圧以降、アレリニオ率いるエルデは、ヴァルド公国に目を向けて
いた。ヴァルドの治安は乱れに乱れ、ショーン自慢の軍部ですら、彼に反発す
るものが出始めていた。妻と子供は、妻の故郷であるフラメへと逃れているし、
たのみの綱であった、悪名高きドクター・ファウストは、ミューラス島の魔法
陣の中に吸い込まれて帰ってこない。
 内戦状態であった。

                              《続く》
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 あとがき
 瀬乃ちゃんがパソコンを買った♪(前に言ったっけ?)
今は、プロバイダ選びで迷っているらしい。それよりなにより、ISDNを入れた
のにもかかわらず、フレッツが使えなかったのが、悲しかったようだ。
篠原んちは、フレッツ対応地区ではなかったのだが、年明け早々、フレッツ対
応地区になっていたことが判明。大慌てでISDNとフレッツを申し込んだが、な
んと、工事まで2ヶ月待たされるらしい。
 恐るべしNTT。。。。

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2001/3/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hoops.ne.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142  loveyou
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